日本経団連タイムス No.2916 (2008年8月7日)

「日本経団連キャリア・アドバイザーフォローアップ講座」開催

−NCA会員25名が参加し講演や実習で3講座学ぶ/「効果的なキャリア・アドバイス」など


日本経団連事業サービスは7月26日、第13回「日本経団連キャリア・アドバイザー(NCA)フォローアップ講座」を都内で開催した。同講座は3講座からなり、当日はNCA会員のうち25名が出席した。

第1講座は、東京地方裁判所の石井俊和判事が、「裁判員制度の概要と実務対応」をテーマに講演を行った。石井氏は、裁判員制度は司法制度改革の一環として、閉ざされがちだった日本の司法をオープンにしていく必要から実施された、とその意義を説明。来年5月からスタートする同制度の対象は刑事事件に限られ、事件ごとに一般国民から無作為に選ばれた裁判員6人と裁判官3人の計9人が有罪か無罪かを決定し、有罪の場合には量刑を決めるまでの役割を担うことになる、と述べた。また、国民が裁判員に選ばれた場合、基本的には辞退することはできないことを強調した。

第2講座では、ジョブ・カード制度について、厚生労働省職業能力開発局の高橋秀誠企画官が解説。同制度の目的は、求職者の職業能力を客観的に証明して就職を支援するところにあり、今年4月から本格的にスタートした。高橋氏は、ジョブ・カード取得への流れについて、「フリーターや主婦など、これまで職業能力形成の機会に恵まれなかった人に、キャリア・コンサルタントの相談を受けることを条件に、企業で実習と座学を組み合わせた実践的な職業訓練を受講してもらい、その評価結果などが記入された評価シート(職業能力証明書)などを、最終的にジョブ・カードとして取りまとめ、常用雇用への就職活動等や就職後のキャリア形成に活用してもらう」と説明した。

第3講座は、「効果的なキャリア・アドバイス」について、キャリア・ネットワークの清水敏生社長が実習を交えて指導した。清水氏は、NCA会員の特徴的スキルとして、(1)相手の本音を引き出すのがうまい (2)組織への理解が深い (3)選択肢を提示する訓練を受けている――などを指摘し、「どうやって、さらに自分のコンサルティングの技法を確立していくか」が今後の課題であると述べた。その後、4つの相談事例を紹介。さらに、実際に受講者に対応を考えてもらうケーススタディーが出題され、まずその相談事例の中から事実を確認する作業を行った。清水氏は、キャリア・アドバイスの際に重要な点は、相談内容に事実と本人の思い込みが混在しているケースが多いため、まずその中で何が事実かを確認し、本人の思い込みとの区分けをすることで、相談にどのような戦略で臨み、対応をどうするかを考えるべきであると述べた。そして、このケースでの(1)事実である点 (2)本人の思い(クライアントの視点) (3)キャリア・アドバイザーの視点――について、指摘があった。

その後、ロールプレイング(実習)に移り、受講者が2人1組になり、交代で、ひとりがクライアント役、もうひとりがキャリア・アドバイザー役を演じ、ケーススタディーを実施。お互いのアドバイスについて評価しあった後に、清水氏から、このケースでのキャリア・アドバイザーが行うべきアドバイスの例示があり、講座を終了した。

【日本経団連事業サービス研修担当】
Copyright © Nippon Keidanren