日本経団連タイムス No.2919 (2008年9月4日)

経済広報センター、企業広報賞表彰式を開催

−東芝など1社・4氏受賞


日本経団連の関連組織である経済広報センター(御手洗冨士夫会長)は8月25日、東京・大手町の経団連会館で、第24回「企業広報賞」の受賞企業・受賞者に対する表彰式を開催した。企業広報大賞は東芝(西田厚聰・代表執行役社長)が受賞したほか、企業広報経営者賞はシャープ代表取締役社長兼COOの片山幹雄氏、日本航空代表取締役社長の西松遙氏が受賞した。また企業広報功労・奨励賞にはスタッフサービスオフィス事業本部コーディネート部キャリアアドバイスセンターマネージャーの井上喜久栄氏、コスモ総合研究所経済調査部CSR・環境グループグループ長(前コスモ石油広報室長)の鴇田穂積氏が選ばれた。

表彰式では、主催者を代表して御手洗会長があいさつし、「目まぐるしく社会が変化する中、企業に対する期待が年々大きくなっていると同時に、消費者やメディアの企業を見る目も厳しくなっている。企業には多様なステークホルダーとのコミュニケーションが求められている。企業と社会をつなぐ役割を果たすのが、まさに企業広報の役目であり、社会が変化していく中で、企業広報も時代を先取りして一層進化していかなければならない」と指摘。その上で「今回企業広報賞を受賞された企業、経営者、担当者の方々は継続的かつ先進的な取り組みで成果を挙げてこられた。こうした事例が変革を志す経営者および広報担当者の参考となり、また励みとなることを願う」と述べた。

この後、表彰状・トロフィーの贈呈と、選考委員長を務めた東京理科大学総合科学技術経営研究科教授の伊丹敬之氏による講評が行われたのに続いて、受賞企業代表・受賞者があいさつし、喜びを語った。各賞受賞者のあいさつの要旨(文責記者)は次のとおり。

各賞受賞者あいさつ(要旨)

<西田厚聰・東芝代表執行役社長>

社内外のコミュニケーションを強化し、当社の現状、ビジョン、あるべき姿などを一人でも多くの人に正しく理解してもらうために努力してきた。昨年来、いくつかの事業上の重大な案件が発生したが、その意図するところを、あらゆるステークホルダーに説明し、理解してもらえるような機会を設けてきた。社内に対しては、社長就任以来、ものづくりや技術・商品の開発などの現場に可能な限り足を運び、多くの従業員と対話をしてきた。これらの機会を通じて経営幹部として考えていることを従業員に伝え、また従業員の声にも耳を傾けた。昨今、景気後退の観測がいろいろと報道され、企業業績に不透明感が漂い始めたが、こういうときにこそ、われわれ企業経営者がしっかりと、また積極的に会社の方向性を示していくべきである。今後ともすべてのステークホルダーに対して不断のコミュニケーションを実践していく。

<片山幹雄・シャープ代表取締役社長兼COO>

当社は2012年が創業100周年に当たる。会社にとって非常に大切なマイルストーンの年に向けて、今、2つのビジョンをもって取り組んでいる。1つ目が世界ナンバー・ワンの液晶ディスプレーを通じて真のユビキタス社会を実現すること、2つ目が省エネ・創エネ機器事業を核として、健康環境事業で地球環境に貢献することである。日々のテレビ報道、新聞報道を見ても、われわれのコンセプトは間違っていないと思っている。今後ともこうした企業活動を、ステークホルダーに理解していただくと同時に、社内でも徹底していくことによって、さらなる企業の発展に努めていきたいと考えている。

<西松遙・日本航空代表取締役社長>

社長に就任以来、情報開示と透明性の確保に注力した。IRや商品発表なども、できるだけ自分の言葉で、語りかけるよう努力してきた。航空会社にはいろいろな職種があるから、各セクションが機能的に一つになって動くというのはなかなか難しい。どうしてもセクショナリズムに陥りがちになるので、こういったところをぜひ改革したいと思い、私自身が直接、現場に足を運んで、社員と対話をしてきた。次第にものが言いやすくなり、アイデアも出てくるようになるなど、それなりの効果が出てきて意を強くしている。時間のかかる試みだが、一つひとつの行動を積み重ね、経営陣と現場との距離を縮めて、会社全体の活力を高めていきたい。社内外の広報にさらに力を入れて、お客様の信頼を得られるようにする。

<井上喜久栄・スタッフサービスオフィス事業本部コーディネート部キャリアアドバイスセンターマネージャー>

ダイエー勤務時代に、企業広報の仕事を通じて企業という存在が持つ重さ、大きさ、深さ、悲しみ、喜び、そして企業の存在の意義を熱く感じることができた。広報という仕事の醍醐味は、企業の動きをリアルタイムで感じることができることにある。かつて私が、土壇場、瀬戸際に立った時、いつも心に刻んでいたのは、最後まであきらめないという言葉だった。それは決して悲壮感ではなく、広報として最後まで果たすべき役割に最善を尽くすということであり、厳しい状況を楽しむ気持ちが、今まで元気に健康に長く広報を続けられたポイントだったように思う。自分の原点、DNAはそういう広報スピリットにあると確信している。

<鴇田穂積・コスモ総合研究所経済調査部CSR・環境グループグループ長>

コスモ石油で広報の業務に携わって以来、企業の実像を正確に伝え、正確に評価してもらうように部下とともに実践してきた。こうした広報姿勢に対し、時として社内の風当たりが強いこともあったが、2001年のエンロン事件でありのままに企業の姿を伝えることの大切さが改めて証明され、ようやく自らの信念は正しかったという実感がわいた。また、コスモ石油では2000年から環境経営に力を入れてきた。石油は使えば使うほど、温室効果ガスである二酸化炭素を出してしまう。この石油を生業とする企業であるからこそ、環境に何かいいことをしていこうではないかということで、いろいろな環境関係のプログラムを立ち上げた。机上の環境、机上のCSRではなく、現場に入って、自分たちの置かれている立場を真摯に見つめることを原点とした。私の活動を認めてくれた経営者や、支えてくれた社内社外の皆さまには深く感謝する。

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