日本経団連タイムス No.2921 (2008年9月18日)

東アジアをはじめとする今後のEPAの進め方で説明を聴く

−経済連携推進委員会で、外務省・経産省局長から


日本経団連は10日、東京・大手町の経団連会館で経済連携推進委員会(大橋洋治委員長、勝俣宣夫共同委員長)を開催し、小田部陽一外務省経済局長および岡田秀一経済産業省通商政策局長から、東アジアをはじめとする今後のEPA(経済連携協定)の進め方について説明を聴いた。

小田部局長は、冒頭、WTOドーハラウンド交渉が先月決裂した経緯と今後の見通しについて説明するとともに、交渉再開と妥結に向けた意欲を示した。EPAについては、WTOと補完的な関係にあるとの認識の下、「経済財政改革の基本方針2008」で示された方針に沿って、締結相手国・地域は拡大していると指摘し、近く締結される可能性のある国として、スイス、ベトナム、インドとの交渉状況を紹介するとともに、今後予定される首脳の往来等の機会も活かしてこれらの交渉を進めたいと述べた。

今後の交渉については、(1)米国、EUという二大経済圏(2)東アジアやアジア太平洋地域での広域経済連携――が考えられるとし、後者については、ASEAN+3(日、中、韓)、ASEAN+6(日、中、韓、印、豪、NZ)、アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)などのさまざまな枠組みについて研究が並行して進められており、日本とアジア太平洋地域にとって望ましい体制を見極めていく必要があるとの認識を示した。また、今後はEPAにとどまらず、投資協定や社会保障協定などについても、積極的に拡充を図り、戦略的に活用していくとの考えを表明した。

岡田局長は、WTOドーハラウンドの終結や広域アジアEPAの実現等は、06年に策定された「新経済成長戦略」の主要施策であることを紹介するとともに、9日に公表した同計画の改訂について説明。昨今の資源・エネルギー価格の高騰等の影響により、実質GDP・実質GNIの伸びが当初の見通しより大幅に鈍化したことを受け、戦略改訂によって、実質GDP・実質GNI成長の押し上げを図っている。改訂戦略では、「世界市場の獲得と持続的発展のためのグローバル戦略の再構築」を柱の一つと位置付け、その実現に向けて、(1)資源国・新興国との関係の構築(2)アジア市場との一体化による成長活力の取り込み(3)自由で開かれた国際経済体制の構築――に取り組むとしている。

特に、アジアの成長活力を取り込むため、アジア版OECDとして提言機能が期待される東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)とASEAN+6の枠組みを活用し、地域経済統合の深化を図るとともに、WTOドーハラウンドの早期妥結と、大市場国、新興国、資源国とのEPA、投資協定の推進に努めるとの考えを表明した。併せて、EPAについては、締結後の活用が重要であり、原産地証明を含め、必要な改善を継続的に図っていくとの方針を示した。

【国際第二本部経済連携担当】
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