日本経団連タイムス No.2923 (2008年10月2日)

広域連携や韓国との地域間連携を検討

−九州観光推進機構から説明聴く/観光委員会企画部会


日本経団連は9月19日、東京・大手町の経団連会館で、観光委員会企画部会(生江隆之部会長)を開催した。

観光委員会では今月7日から9日まで、韓国の済州島とソウルにおいて韓国の全経連観光産業特別委員会との間で「第3回日韓観光協力会議」を開催する。同会議では、観光人材の育成や地域の観光資源の開発に関する韓国との協力促進を主要なテーマとする予定である。

そこで、この日の企画部会では、九州において広域的な観光振興に取り組むとともに、韓国との観光交流も活発に行っている九州観光推進機構の高橋誠・事業本部副本部長から説明を聴くとともに、意見交換を行った。
高橋氏の説明概要は次のとおり。

九州観光推進機構の特徴は、九州7県の枠組みを越えて官民が連携していることに加え、観光分野以外の幅広い業界も積極的に参画している点である。九州観光のイメージや認知度そのものを高めることによって、集客力を向上させていくことをめざしている。

こうした目標を実現するため、2004年10月、同機構の前身である九州観光戦略委員会は「第一次短期戦略」を策定し、同機構では07年までの間に、九州の宿泊者数を4582万人にまで増やすとともに、入国外国人数を74万人とする事業を展開してきた。同機構のこれまでの活動は、具体的には、旅フェアの開催、観光情報の提供機能の強化、修学旅行の誘致促進、中国各地や台湾との友好協定の締結などであるが、その結果、07年には、宿泊者数の増加については、目標値に至らなかったものの、入国外国人数は、92万人に達するなどの成果を得た。

今後の課題としては、統計の整備、大都市圏での情報発信、機構内の人材育成と財務基盤の強化による継続的な事業展開の3点がある。08年度から10年度までの「第二次戦略」においては、入国外国人数を10年に100万人に増加させ、宿泊者数を年率3%、3カ年で10%伸ばす目標を掲げている。

韓国市場への取り組みに関しては、例えば韓国-福岡間では航空機が週104便、船舶が週64便であるなど活発な交流が行われており、日韓を結ぶ高速船(ビートル)の利用人員は05年には約50万人であったが、07年には60万人を初めて突破し、着実に増加している。

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観光委員会企画部会ではこれに引き続き、「第3回日韓観光協力会議」への対応について協議し、日本側からは、九州における韓国市場への取り組みに加え、韓国の大学の観光学部の学生などを中心とする人材交流の可能性を検討するなどを提案することとした。

【産業第一本部国土担当】
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