日本経団連タイムス No.2924 (2008年10月9日)

シコルスキ・ポーランド外相と懇談

−着実に進むビジネス環境の整備など強調


日本経団連は2日、東京・大手町の経団連会館でラドスワフ・シコルスキ・ポーランド外務大臣との昼食懇談会を開催、日本経団連からは、横山進一ヨーロッパ地域委員会共同委員長らが出席した。
シコルスキ外相の発言要旨は次のとおり。

■ 2011年のユーロ導入をめざす

ポーランドは、財政赤字の縮減に計画的に取り組むなどユーロ参加に必要な基準を満たしている。さらに、EU結束基金からの支援、民間年金ファンドの国内株式・債券への投資、国外労働者からの送金など資金供給の途が確保されており、金融危機にも耐え得る環境が整っている。今後は参加に向けた手続きを進めていくことになる。2011年のユーロ参加を宣言したことによって、国内経済の安定化と健全な財政運営を国民に約束するとともに、欧州における競争優位性を広く示すことができると考えている。

■ 着実に進むビジネス環境の整備

特別経済区では税の減免措置や4000万ユーロ超で250人以上の新規雇用を創出する投資に対する国の財政支援が与えられることなどから、良好なマクロ経済環境と相まって、昨年だけでも多くの外国企業がポーランドに投資した。ビジネス環境整備が現政権の最優先課題となっており、来年1月1日には、法人税、個人所得税の減税が行われ、個人所得税の最高税率は、40%から32%に引き下げられる。また、トゥスク首相自ら注力している行政手続きの簡素化については、例えば法人登記はワンストップ、1日で手続きが完了するようになる。国営企業の民営化も順調に進んでおり、600社について一部あるいは過半数の株式が市場に放出されることになっている。その他、輸送インフラの整備も進めている。労働力の供給不足が指摘されるが、在西欧・米国等のポーランド人の帰国も増加しており、今後もそのための環境を整えていく。なお、グルジアにおける武力衝突後の今日もポーランドがEU、NATOの加盟国であることに変わりなく、ロシアとの貿易も順調である。石油・ガスの供給にも大きな問題は生じていない。

■ 日本の対ポーランド投資多様化の一環として電力事業への投資に期待

ポーランドと日本の経済関係は非常に良好である。現在、約250社の日本企業がポーランドに進出しており、累積投資額は8億ユーロを超え、2万人の新規雇用を創出している。日本はEU以外の国の中では第4位の投資国である。これまで日本からの投資は、自動車、液晶ディスプレイモニター等に限られていたが、最近、電力事業への投資が出てきた。これには大いに期待している。

ポーランドでは、いまだに電力の96%を石炭火力発電に依存しており、老朽化の進む発電所も多い。気候変動問題がクローズアップされる中、エネルギーの脱炭素化、効率化に向けて、ポーランドは大規模投資を行う用意がある。一方、日本は、この分野に大変優れた知見と実績を持っており、相互補完的な関係を築くことができると期待している。

【国際第一本部欧州・ロシア担当】
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