日本経団連タイムス No.2929 (2008年11月20日)

道州制導入へ第2次提言

−道州制で期待される効果明示/道州制の制度設計や導入までのロードマップ示す


日本経団連(御手洗冨士夫会長)は18日、「道州制の導入に向けた第2次提言」を取りまとめた。

日本経団連ではかねて、各地域が自らの活力を引き出すことを通じて日本全体を変えていくため、2015年を目途に道州制を導入することを求めている。07年3月には道州制の意義や目的について整理した「道州制の導入に向けた第1次提言」を公表しており、今般、今年3月に公表した「道州制の導入に向けた第2次提言‐中間とりまとめ‐」に加筆するかたちで提言を取りまとめた。提言のポイントは以下のとおり。

■ 道州制に期待される効果

21世紀政策研究所では、道州制を導入して行財政改革を進めることで、九州7県で8945億円、全国で5兆8483億円の新たな財源を生むことができると試算している。道州制の下では、欧州の中堅国に匹敵する各地域がこうした財源をもとに、地域の実情に応じてインフラ整備や人材育成などに取り組んで競争力をつけたり、子育て支援や医療・介護体制の充実を図るなどきめ細やかな行政サービスを提供することが可能になる。

■ 道州制の制度設計

道州制の下では、国の役割は「選択と集中」を図り、内政は道州と基礎自治体が主体となり政策を立案・実施することとなる。そこで、国、道州、基礎自治体のそれぞれが必要な財源を確保するために、税財政制度を抜本的・一体的に改革し、地域による偏在性が少ない地方消費税を充実させる必要がある。また、道州制の先行導入に向けて道州制特区法を活用する観点から、同法の対象である北海道からの提案を最大限認めることや権限と財源を一体的に移譲すること、都府県による広域連合も同法の対象とすることも必要である。
さらに、(1)北海道と沖縄に対しては、国による財政的な支援を前提とした特例型の道州を時限的に認めること(2)大都市制度を見直すことや首都のあり方について検討すること(3)道州議会議員数を大幅に削減することや参議院議員選挙を改革すること――なども必要となる。

■ 道州制導入までのロードマップ

道州制の導入を見据え、いますぐ地方分権改革や地方支分部局の整理、地方公共団体の行財政能力やガバナンスの強化に着手すべきである。
政府・与党には、道州制の導入をめざし、09年に内閣に道州制の導入に関する検討機関を設置し、早期に道州制推進基本法(仮称)を制定することが求められる。また、同法において、政府に道州制推進基本本部(仮称)を設けることや、有識者で構成される道州制諮問会議(仮称)を設けて重要事項について答申を策定することなどを規定することも重要である。
なお、区割りに関しては、国が各地域の意見を踏まえて道州の予定区域を定め、それぞれの区域で住民代表が参加する「道州制推進協議会」(仮称)で検討し決定すべきである。

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道州制の導入に向けた機運をさらに盛り上げるためには、何よりも各地域で主体的・積極的な検討を進めて具体的でわかりやすいメリットを示すことにより、住民の理解を広めることが重要である。日本経団連としても、引き続き各界との意見交換を重ね、道州制の議論を盛り上げるために働きかけていく予定である。

【産業第一本部】
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