日本経団連タイムス No.2930 (2008年11月27日)

社会保障国民会議医療・介護費用シミュレーション結果めぐり懇談

−内閣官房・香取参事官、改革の必要性を強調/社会保障委員会医療改革部会・企画部会


日本経団連の社会保障委員会医療改革部会(齊藤正憲部会長)は14日、東京・大手町の経団連会館で同企画部会(渡邉光一郎部会長)との合同会合を開催し、内閣官房の香取照幸参事官から今月4日に公表された社会保障国民会議の最終報告の柱である、医療・介護費用シミュレーション結果について説明を聴くとともに懇談した。

香取参事官は冒頭、「本年6月に取りまとめた社会保障国民会議の中間報告では、社会保障の持続可能性の確保と併せて、社会保障の機能強化を打ち出した。その中で、最終報告を取りまとめるにあたり、医療・介護分野における給付と負担のあるべき姿を示し、それを支える費用を推計する必要がある旨が盛り込まれたことから、今般、医療・介護費用のシミュレーションを行った」と、今回のシミュレーションを行うに至る経緯を説明した。

また、「今回のシミュレーションは、2025年段階において、完成形に近いサービス提供体制が構築されること、いわば医療・介護のサービス提供体制について、大胆な改革を行うことを前提とした上で、医療・介護サービスの需要と供給、マンパワーの必要量、医療・介護サービス費用等について推計している。その際、現在のサービス提供体制を前提とする『現状投影シナリオ』、選択と集中による改革を行うことを想定した『改革シナリオ』に分けて、結果を示した」と、シミュレーションの前提や基本的な考え方を示した。

その上で、シミュレーション結果のうち、医療・介護のサービス費用総額については、2025年において、「『現状投影シナリオ』の場合、約85兆円であるが、『改革シナリオ』の場合だと約91〜93兆円となる。また、財源構造も粗いシミュレーションを行っているが、『改革シナリオ』で追加的に必要となる財源は、公費で約14兆円(消費税率換算約4%程度)、保険料で約12兆円(同約3%程度)となる」と説明した。

また、費用推計結果の説明と併せて、「望ましいサービスの姿を実現するためには、提供体制の計画的整備、専門職種間の役割分担、診療報酬体系の見直しなど、制度面を含めた改革が不可欠である」と指摘し、具体的な改革の道筋を明らかにした上で、国民的な議論が必要であることを強調した。

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社会保障委員会では、同シミュレーション結果を踏まえつつ、中長期的に持続可能な社会保障制度の将来像について検討を深めていく予定である。

【経済第三本部社会保障担当】
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