日本経団連タイムス No.2931 (2008年12月4日)

育介法改正へのたたき台を議論

−中小企業に新たな対応困難、使用者側委員が主張/労働政策審議会雇用均等分科会


厚生労働大臣の諮問機関である労働政策審議会雇用均等分科会が11月28日開催され、公益委員の意見をもとに事務局が作成した「取りまとめに向けた検討のためのたたき台」が示された。6月に閣議決定された『経済財政改革の基本方針2008』に育児・介護休業の取得促進策の充実など仕事と育児等を両立できる環境整備が盛り込まれたことなどもあり、同分科会では、8月末から育児・介護休業制度見直しに向けた審議を行っている。

たたき台の前文では、「第一子出産前後で継続して就業している女性の割合は未だ低い水準にとどまっており、休業からの復職後に仕事と子育てを両立して続けていくことには、依然として、かなりの困難が伴っている」「このため、育児休業を取得しやすい環境整備に加え、休業からの復帰後の子育て期に多様で柔軟な働き方を選べるようにすることが必要」であるなど、今回の見直しの趣旨を述べている。

たたき台は続いて具体的な見直しの中身を示している。まず子育て期の働き方について、現在、事業主の選択的措置義務の一つに位置付けられている施策のうち、(1)短時間勤務については、3歳に達するまでの子を養育する労働者に対する事業主による単独の措置義務とすること(2)所定外労働の免除については、3歳に達するまでの子を養育する労働者の請求により対象となる制度とすること――を提案している。

ただし、前者は、業務の性質上または事業場の実態に照らし、短時間勤務が難しい労働者等について、法令や労使協定によりその対象から除外することができる仕組みとしている。

また父親も、子育てができる働き方として、(1)父母がともに育児休業を取得した場合に、育児休業取得可能期間を子が1歳2カ月に達するまでに延長すること(2)出産後8週間以内に父親が育児休業を取得した場合には、特例として育児休業の再度取得の申し出を認めること(3)配偶者が専業主婦(夫)である場合は、労使協定によって育児休業の申し出を拒むことができるとする規定等を廃止すること――を併せて提案している。

さらに、子の看護休暇について子が2人以上であれば年10日に変更すること、介護のための短期の休暇制度を新設すること、育児休業の再度取得要件を追加することなどの提案も盛り込んでいる。

当日の分科会では、使用者側委員が、「ここ数年、労働法制の改正が相次いでおり、また現在の厳しい経済情勢を踏まえれば、特に中小企業にとって新たな対応は困難である」と主張、労働側委員は、「制度の対象となる子の年齢を延長しないことに納得できない」などと主張した。

厚生労働省は年内に同審議会において建議を取りまとめた後、改正法案要綱の諮問、答申を経て、改正法案を来年の通常国会に提出したいとの意向である。

日本経団連としては、今回の公益委員からの提案に対する対応を労働法規委員会はじめ関係会合で検討し、使用者側委員を通じて最終的な建議取りまとめへの意見反映に努める。

【労政第二本部機会均等担当】
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