日本経団連タイムス No.2933 (2009年1月1日)

御手洗会長年頭所感

−責任果たし、経済活性化に全力


新年あけましておめでとうございます。

今まさに、世界は未曾有の危機にあります。昨年から続く国際的な金融システム不安が信用収縮を起こし、消費の低迷、生産の減少、雇用情勢の悪化というかたちで実体経済へと波及してまいりました。

日米欧の主要3極の経済成長率は、足元でマイナスに転じており、これまで高い成長を遂げてきた新興国経済も減速を余儀なくされています。今や、世界経済全体が同時不況に陥る懸念が著しく高まっています。各国政府には、緊密に連携し、採り得る政策を総動員して目下の難局を乗り越え、世界経済を安定的な成長軌道にのせることが求められています。

そうした観点から、昨年11月に開催された金融サミットで先進国に加え、新興国、資源国などが参画し、国際的な政策協調・連携体制が強化されたことは画期的な出来事であったと思います。サミットの共同宣言では、金融システムの安定化と世界経済の成長に向けた包括的な対策が示されました。経済界としても、12月にG8ビジネス・サミットを開催するなど、世界経済の安定成長に向けて具体的な行動をとっていく決意を示したところであり、対策の迅速かつ着実な遂行に努めてまいります。

日本経済は、1年を通してマイナス成長が予想される極めて厳しい環境下にあります。危機的な状況から脱却し、雇用の安定を図って持続的な成長につなげていくためには、明確なビジョンに基づいて、果断に政策を実行していくことが不可欠となります。税制抜本改革を含む成長力の強化、財政健全化と持続的な社会保障制度の確立、新産業の創出、環境対策、道州制の導入による地域経済の活性化などに、国を挙げて取り組まなければなりません。

今年は、総選挙も実施されます。一人ひとりの選択が、この国の未来を左右することを肝に銘じなければなりません。国民本位、国益優先の観点から、国会を通じて、党利党略を超えた大胆な政策が議論されることで、国民の選択が行われることを期待しています。

民間企業には、積極果敢な活動を通じて、経済のダイナミズムを生み出す原動力となることが期待されています。実績と経験に裏打ちされた高い技術と知見に基づいて、わが国企業が牽引役となることで、経済の活力を取り戻すことは可能だと信じます。

経済界としては、引き続き、自らの責任を果たし、経済の活性化に全力を挙げてまいる所存です。

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