日本経団連タイムス No.2939 (2009年2月19日)

道州制シンポジウム、広島で開催

−道州制実現に向けた取り組みなど/パネル討議などを展開



シンポジウムでのパネル討論

日本経団連(御手洗冨士夫会長)と経済広報センター(同)は3日、広島市内で、中国経済連合会(中国経連、福田督会長)との共催によりシンポジウム「道州制で日本を変える」を開催した。日本経団連は、道州制導入に向けた国民的な気運を高めるため、2008年度から全国の主要都市でシンポジウムを開催しており、今回は5回目。当日は、日本経団連および中国経連の会員や、経済広報センターの社会広聴会員、地方自治体関係者、一般参加者など約400人が参加し、活発な討議が行われた。

■ 福田中国経連会長、御手洗会長主催者あいさつ

福田中国経連会長は、「米国の金融危機に端を発する世界的な景気後退により、地方は疲弊しており、この状況を打破して地方が活力を取り戻していくには、究極的な分権型国家としての道州制へと国のかたちを改めることが急務である」と述べた。

続いて御手洗会長が、「08年11月に公表した『道州制の導入に向けた第2次提言』では、道州制の導入で期待される効果を具体的に示し、道州制を支える諸制度などを提案した」と紹介。また、「中国地方では自動車や電子部品・デバイスなどのものづくりを中心とした広域経済圏が既に形成されており、国から権限や税財源が移譲されれば道州として地域経営を実践していける」との期待感を示した。

■ パネルディスカッション

パネルディスカッションには、藤田雄山・広島県知事、川崎信文・広島大学大学院教授、永島旭・中国経連副会長、池田弘一・日本経団連道州制推進委員会共同委員長がパネリストとして参加、山本一隆・中国新聞社副社長のコーディネートの下、「道州制の実現に向けて‐魅力と活力溢れる地域社会の構築」をテーマに、道州制の意義や目的、めざすべき道州制の姿、道州制実現に向けた取り組みなどについて議論を行った。

藤田知事は、「広島県は平成の大合併で県内の86市町村が23市町まで減少した日本一の合併先進県であり、全市町でパスポートが交付されるようになるなど権限移譲が進んだ」と紹介。日本経団連の提言については、「道州制導入の効果として、都道府県の行財政改革に加えて国の出先機関改革の効果も示してほしかった」とコメントした。

また、池田共同委員長は、『道州制の導入に向けた第2次提言』の内容を紹介し、「道州制導入によるメリットとして、独自の産業振興策が展開されて雇用が創出されることが重要である」と述べた。その上で、「15年の道州制導入をめざすロードマップとして、まずは09年に『道州制推進基本法』(仮称)を制定することが必要である」と訴え、道州制実現には政治のリーダーシップと国民の理解や支持が欠かせないと強調した。

■ 閉会あいさつ

最後に、中村邦夫副会長・道州制推進委員長があいさつし、「住民生活に直結する分野で具体的なメリットが生まれてこそ、道州制に対する国民の理解が得られるのであり、行政サービスの大半を担う基礎自治体の体質を強化して行政の透明性を高めることが重要である」と述べた。

【産業第一本部行革担当】
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