日本経団連タイムス No.2939 (2009年2月19日)

政府の少子化対策の動き聴く

−「少子化対策についての提言(案)」審議・了承/少子化対策委員会


日本経団連の少子化対策委員会(池田守男共同委員長、鈴木茂晴共同委員長)は12日、東京・大手町の経団連会館で会合を開催し、厚生労働省の村木厚子雇用均等・児童家庭局長から、政府のこれまでの少子化対策の総括と今後の優先課題について説明を聴いた後、意見交換を行った。

村木局長の少子化をめぐる状況についての説明概要は次のとおり。

現在、わが国は急速に少子化が進み2005年から人口減少局面に入っている。少子化傾向がこのまま進行した場合、2055年の生産年齢人口は現在の2分の1近くに減少すると推計される。ただし、2055年時点で生産年齢人口に当たる世代の多くは、これから生まれる子どもたちであり、団塊ジュニア世代が30歳代後半に差しかかる中、女性が子育てをしながら、就業継続できるような環境整備を急がねばならない。

結婚・出産に関する国民の希望と現実には大きな乖離があるが、この要因として、結婚においては、経済的基盤の確立や雇用・キャリアの将来の見通しの影響が大きく、出産においては、就業継続できる見通しや父親の育児参加の度合いの影響があるとみられる。そこで、政府では07年に「『子どもと家族を応援する日本』重点戦略」を策定し、「就労」と「結婚・出産」の二者択一構造の解消に向け、ワーク・ライフ・バランスの実現を図るとともに、地域で子育てを支える保育サービスの基盤整備を行うことが重要との方向性を明確にした。この方針を受け、次世代育成支援対策推進法を改正、企業の行動計画策定義務の対象を拡大し、公表を義務付けるなどの法整備を行った。また、短時間勤務制度や所定外労働の免除の義務化、子の看護休暇制度の拡充などを主な内容とする育児・介護休業制度の見直しを行い、改正法案の策定を進めている。

そのほか、幼い子どものいる女性の就業希望を実現するには、2017年には保育所利用児童数100万人増、放課後児童クラブ利用児童数145万人増が必要との試算に基づき、「新待機児童ゼロ作戦」により保育サービスの集中的拡充を行っている。さらに、次世代育成の包括的な新体系構築に向け、社会保障審議会で検討を進めているが、08年末には保育制度の改革案を示した。現在、保育関係者に理解を求めているが、2013年から新制度体系がスタートできるよう、財源確保のあり方も含め引き続き検討をしていく。併せて、08年度の補正予算により設置された1000億円の「安心子ども基金」により、保育サービスや放課後児童クラブの重点整備など足元の緊急整備を進めていきたい。

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村木局長の説明に続き、「少子化対策についての提言(案)の審議が行われた。同提言案は、政府に対しさらに思い切った少子化対策の実施を求めるべく、今後5年間を念頭に置いて、重点的に取り組むべき課題やスケジュール、必要とされる財政投入の規模などを具体的に盛り込んだものであり、審議の結果、委員会として了承された。

【経済第三本部国民生活担当】
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