日本経団連タイムス No.2943 (2009年3月19日)

アッタール・イエメン投資庁長官と懇談

−日本との関係をさらに強化/民間投資増に期待を示す



アッタール長官(右)と握手する渡副会長

日本経団連の渡文明副会長・中東・北アフリカ地域委員長は2月26日、東京・大手町の経団連会館でイエメン共和国のサラーハ・アル・アッタール投資庁長官の訪問を受け、懇談した。

冒頭、渡副会長は、昨年4月にイエメン政府が首都サヌアで開催した「日イエメン・ビジネスワークショップ」に触れ、開催に尽力したアッタール長官に謝意を示すとともに、「出席した日本企業にとって、経済政策や投資環境、具体的なプロジェクトにとどまらず、イエメンの最新の情勢を直接知る絶好の機会になった。イエメン政府の全面的な支援の下で日本企業を対象とするワークショップが開催されたことは今後の二国間の経済関係強化にとって大変意義深い」と述べた。

これを受けて、アッタール長官が発言。発言の概要は以下のとおり。

日・イエメン関係は良好であり、日本との関係をさらに強化していきたい。日本は既にODAなどを通じてイエメンの開発プロジェクトに貢献しているが、今後は民間部門のきずなを一層強化したい。日イエメン・ビジネスワークショップには日本経団連からの参加奨励の効果もあり、多くの日本企業関係者が出席した。イエメンの投資環境や具体的なビジネスチャンスを知らせるという所期の目的を達成することができ、改めて感謝したい。今後、同ワークショップの成果を踏まえ、日本の民間投資が増えることを願っている。

イエメン投資庁は4つの機能を果たしている。第1に外国直接投資(FDI)を円滑に誘致するための規制の整備、第2にイエメンのイメージ形成とマーケティング、第3に投資環境の整備、第4に投資円滑化である。特に現地に進出した投資家に投資のあらゆる段階で支援を行い、問題を取り除く努力を行っている。

ここ数年、円滑なFDI誘致のための規制整備に注力してきた。その成果として、石油鉱物資源省は昨年、外資が参入しやすいよう法律を改正した。生産物分与契約(PSA)について、条件を満たす企業は入札に参加しなくても利権交渉を行うことが可能になった。数日前に議会は新たに7つの生産物分与契約を承認した。石油に加えてこれまで国有化されていたガスも開放したので、今後交渉に応じることができる。また、国内投資法を整備し、世界銀行から、FDIへのインセンティブでは域内で最も優れた法律であるとのお墨付きを得た。外国企業が油田開発を行う場合、石油鉱物資源大臣以下、全面的に協力、支援したい。

汚職・腐敗対策では、高級実務者からなる反汚職委員会を立ち上げた。世界銀行の基準に基づいて新たに公共入札法を制定し、今後は行政府から独立した公共入札委員会が対応するよう定めた。法律は、OECDの公共調達ガイドラインに則って策定しており、こうした取り組みは域内の規範になっている。

【国際第二本部中南米・中東・アフリカ担当】
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