日本経団連タイムス No.2947 (2009年4月16日)

「安全・安心な住生活と内需拡大の実現に向けた緊急提言」公表

−住宅の省エネ化促進など、5項目の住宅投資支援策示す


日本経団連は6日、「安全・安心な住生活と内需拡大の実現に向けた緊急提言」を公表した。わが国の景気回復を内需主導で進めていく中で、経済波及効果の大きい住宅投資には、これまで以上に重要な柱としての役割が期待されている。しかしながら、昨年10月以降、金融不安や雇用情勢の悪化等の影響により、住宅投資は大幅に落ち込んでいる。直近でも2月の新設住宅着工件数は季節調整済年率換算値で86万6千戸と、建築基準法改正の影響が出た2007年の103万戸を大きく下回っており、住宅投資の活性化のためには、さらに踏み込んだ支援措置が必要な状況にある。

3月31日に、麻生首相が平成21年度補正予算の編成を正式に指示したのを受け、政府・与党において検討が行われ、10日、「経済危機対策」が発表された。このような政府・与党の動きをにらみ、日本経団連としても、今回の追加経済対策の中に住宅投資に対するさらに思い切った支援策を盛り込むべきであると考え、急遽、提言を取りまとめたもの。

具体的には、(1)住宅の省エネ化の促進(2)住宅の耐震化の促進(3)長期優良住宅の普及促進(4)住宅購入者の資金調達の円滑化(5)住宅産業の事業環境の改善――の5項目を掲げた。

省エネ化の観点からは、省エネ住宅の建設や改修に対する補助制度の創設とともに、エコキュートやエコジョーズ、エコフィール、燃料電池、太陽光発電に対する補助金の拡充と十分な予算枠の確保を要望した。耐震化の観点からは、旧耐震建物の建て替えの際の解体費の補助制度の創設を要望した。わが国の住宅ストック約4700万戸のうち、25%に当たる約1150万戸は耐震性が不十分な住宅であり、国民生活の安全・安心の観点からも早急な対応が求められる。長期優良住宅の普及促進の観点からは、今年度から創設された投資減税の最大控除額の拡大を要望した。また、高齢者の金融資産を子や孫の住宅取得に活かすことができるよう、住宅取得に関する贈与税の非課税枠の拡大を要望したほか、住宅ローンの供給円滑化のための措置、市街地環境の整備を行う事業者に対する補助制度の拡充などを実施するよう要望した。

その結果、今般の「経済危機対策」に、住宅の省エネ化・長寿命化、耐震化の促進、住宅金融支援機構による住宅融資保険制度の充実、フラット35の融資率の引き上げ、まちづくり融資の拡充などが盛り込まれた。特に、住宅取得資金に関し500万円の贈与税非課税枠が認められ、既存の110万円の贈与税基礎控除または3500万円の相続時精算課税制度の非課税枠と併せて活用できることとなった。

【産業第一本部国土担当】
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