日本経団連タイムス No.2949 (2009年4月30日)

今、直面する課題とこれからの社内広報が果たすべき役割

−日本経団連事業サービス社内広報センターが緊急アンケート調査


100年に一度といわれる経済・金融危機に見舞われ、世界同時不況が進行する中、日本企業は、この経営危機を乗り越えるために懸命の努力を続けている最中である。
そこで社内広報センターでは、こうした激変、変革の時期を迎え、各企業はどのような課題に直面しているのか、社内広報が果たすべき役割、取り組むべき課題は何かについて、企業の社内広報責任者を対象に緊急アンケートを3月に実施した。
概要は次のとおり。

<現在、直面する課題>

グループ全体の一体感をいかに醸成するか

アンケートでは、まず「現在、貴社が直面する課題」について聞いてみた。 回答企業の多くは、グローバルな需要の落ち込み、受注競争や競合の激化、消費の低迷などによる業績の悪化を懸念している。そのための対応として、事業構造改革、徹底したコスト削減、強靭な事業構造の確立、仕事の革新、顧客ニーズに沿った新商品・サービス開発への取り組み、従業員のやる気などが求められている。
その中では、単体ではなく“グループ”を意識しているところが多く、グループ全体の一体感をいかに醸成するかが課題であり、グループ経営力、グループ運営力をいかに向上させるかに大いに関心を持っている。

<社内広報のあり方、役割>

伝えるだけでなく、行動するきっかけをつかむ

次に難局下における社内広報のあり方、役割がどうなっているのか聞いてみた。
多くの企業が共通して挙げているのが、従業員への情報の伝達である。特に、経営の考えや動きなど、経営に関する情報を適時的確に従業員に伝えることが大事であるとし、現在のように厳しい経営環境下では、企業が置かれている状況を従業員一人ひとりにきちんと認識させ、単に伝えるだけでなく理解浸透させ、行動のきっかけをつかめるような社内広報活動が求められている。
さらに、社内コミュニケーションの活性化、一体感、結束力の醸成は社内広報が担う重要な役割であるとするところが大半であり、グループ内での一体感の醸成を意識したところが多い。
以上のことを実現するために、社内広報ツールである紙媒体やイントラネットの特性などを上手に活かした社内広報活動が必要であり、メディアミックスでタイミングよく情報を発信していくことが求められている。中には、パート社員を含む全従業員を対象とした紙媒体であるグループ報を唯一のダイレクトコミュニケーションと位置付けているところもある。
そのほか社内広報担当者は社内広報メディアを駆使したタイムリーな情報開示と説明責任を果たすべきである、また、厳しい状況にあるという前提に立って従業員が“前向き”な意識を持つような情報提供を常に心がけなければならないなど、担当者の意識改革に言及するところもみられる。

<社内広報として取り組むべき課題、これからの対応>

企業風土の変革をめざす

最後に、社内広報として取り組むべき課題、対応を聞いてみたところ、求心力を高め、一体感の醸成を図ることを挙げるところが多い。企業風土の変革をめざすところは、何事にも果敢に挑戦する企業風土、従業員同士が励まし合い、信頼でつながる企業風土、進取の気性の企業風土などを目標として挙げた。
また、グループ企業のトップとのコミュニケーションを密にし、グループ情報をより有効活用することや、広報部員のスキルアップや社内広報を担う広報委員の育成、各地のニュースを提供してくれるリポーターとの連携強化など、人材の育成や通信員との協力体制の確立をめざすところもある。

詳細は社内広報センター発行の隔月刊「社内広報」2009年4‐5月号に掲載。

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