日本経団連タイムス No.2950 (2009年5月14日)

海洋エネルギー・鉱物資源開発に関する懇談会を開催

−政府の開発計画の説明聴く/海洋開発推進委員会


日本経団連は4月22日、東京・大手町の経団連会館で、海洋エネルギー・鉱物資源に関する懇談会を開催した。当日は、山脇康海洋開発推進委員会総合部会長が司会を務め、資源エネルギー庁資源・燃料部政策課の小泉朋幸課長補佐から、政府の「海洋エネルギー・鉱物資源開発計画」について説明を聴き、意見交換を行った。小泉課長補佐の説明概要は次のとおり。

■ わが国の海洋における調査・開発

わが国の国土面積は世界60位であるが、領海・排他的経済水域(EEZ)の面積は447万平方キロメートルで世界6位である。これまでは技術開発や探査活動が十分に行われなかったが、一方で昨今の中国やインドといった新興経済国の台頭により、世界のエネルギーや鉱物資源の需給が逼迫し、資源価格が急騰した。こうした中、自前の資源がある領海・EEZの開発を進めていくことが急務である。

■ 開発計画の策定

2007年7月20日に施行された海洋基本法に基づき、08年3月18日に閣議決定された海洋基本計画では、当面の探査・開発の対象をメタンハイドレート、海底熱水鉱床、石油・天然ガスとするとされた。この基本計画を踏まえ、09年3月24日に海洋エネルギー・鉱物資源開発計画が策定された。

■ わが国の海洋におけるエネルギー・鉱物資源

メタンは天然ガスの主成分であり、メタンハイドレートとは、低温高圧の条件下で、水分子がメタン分子に取り込まれた氷状の物質で、太平洋側を中心に、南海トラフ(四国の南にある海溝)に相当量が賦存している。現状では、賦存している場所の見当はつくが、どの位の量かはわからない。日本の天然ガス使用量の100年分の埋蔵量があると言われているが、天然ガスはエネルギー全体の20%なので、全エネルギーに対しては20年分位である。開発計画では、まず、09年度から15年度に、減圧法による陸上産出試験を行った後、海洋産出を行う。16年度以降は、技術課題などを検証し、18年度以降に商業化する予定である。
海底熱水鉱床とは、海底から重金属に富む熱水が噴出し、銅、鉛、亜鉛、金、銀などの重金属が沈殿して生成されたさまざまな金属から成る鉱床であり、沖縄トラフおよび伊豆・小笠原海域で発見されている。開発計画では、09年度から12年度に資源量を調査し、18年度までに新規の鉱床を探す。
石油・天然ガスについては、国内海域では新潟県のみでしか生産していない。08年2月から、ノルウェーの会社から購入した三次元物理探査船「資源」を活用した基礎物理探査を実施している。08年度から18年度にかけて、6・2万平方キロメートルを調査するとともに、機動的に基礎試錐を進めていく。

<意見交換>

三次元物理探査船「資源」の運用やメンテナンスについての質問に対し、小泉氏から、「資源」は最先端の高度な探査をするため、4年間かけて、ノルウェーから技術移転を受けて勉強するとの回答があった。また、予算に関する質問については、メタンハイドレート、海底熱水鉱床、物理探査に関する予算は着実に増えているとの回答があった。

【産業技術本部】
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