日本経団連タイムス No.2950 (2009年5月14日)

日本経団連「生物多様性宣言・行動指針」発表記念シンポジウム開催

−日本経団連自然保護協議会・日本経団連自然保護基金共催


日本経団連自然保護協議会(大久保尚武会長)は日本経団連自然保護基金と共催で、4月21日に東京・大手町の経団連会館において、3月17日の日本経団連理事会で承認された「日本経団連生物多様性宣言」の発表を記念し、「生物多様性宣言・行動指針」発表記念シンポジウムを開催した。

冒頭、自然保護協議会の大久保会長から、2010年に名古屋で開催される国連生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)に向け、「日本経団連生物多様性宣言」をきっかけに、日本企業の今後の生物多様性への取り組みの飛躍的な拡充を期待するとのあいさつがあった。

それに続き、スペシャル・ゲストのシドニー五輪マラソン女子金メダリストの高橋尚子氏と、大久保会長との特別対談が行われた。対談では、高橋尚子氏が現役時代に訪れた海外の合宿地での豊かな自然や動物が近年減少していること、マラソンで走っているときに肌で感じる自然の変化などから、環境問題に関心を持つようになったことなどが紹介された。

特別対談に続き、大久保会長が、自然保護協議会の過去16年間の活動実績を踏まえ、さらに名古屋でのCOP10開催をにらみ、(1)「日本経団連自然保護宣言」の中の生物多様性に焦点を当て、これをさらに進化させた新たな宣言が必要との認識を持つに至ったという宣言発表の背景や(2)この宣言と行動指針を今後の企業活動において取り組みの参考としてほしい(3)特に経営トップへ向けて、宣言の7項目により、企業としてこれからなすべきことの検討をお願いしたい――などのスピーチを行った。また、自然保護協議会企画部会の石原博部会長から、生物多様性宣言と行動指針の発表が行われた。

宣言発表の後、基調講演として、COP10支援実行委員会アドバイザーで名古屋市立大学の香坂玲准教授が「生物多様性宣言の意義と経済界の役割」をテーマに講演したのに続き、WBCSD(持続可能な発展のための世界経済人会議)マネージング・ダイレクターのジェームズ・グリフィス氏から、「WBCSDの生物多様性への取り組み」をテーマに特別講演が行われた。

次に、2009年度の日本経団連自然保護基金助成決定団体の紹介が行われた。今年度助成決定された全61団体の中から、当日シンポジウムに出席した17団体に対し、その紹介と助成決定の伝達が行われた。そして紹介されたNGOの中から、ICA文化事業協会の佐藤静代理事長があいさつした。

その後、自然保護協議会の真下正樹顧問から自然保護協議会のこれまでの活動実績と、COP10に向けた取り組みなどが紹介された。

シンポジウムの最後には「宣言を受けて、生物多様性を育むために経済界は如何に臨むか」をテーマにパネルディスカッションが行われた。パネリストには、香坂准教授のほかに、IUCN日本委員会の吉田正人会長、WWFジャパンの草刈秀紀自然保護室次長、バイオインダストリー協会生物資源総合研究所の炭田精造所長、キヤノンの澤田澄子社会文化支援部長が、進行役にはトヨタ自動車の西堤徹CSR・環境部CSR室担当部長がそれぞれ登壇し、各々の立場からテーマについての考えや取り組みが紹介され、議論が行われた。

会場両脇のラウンジでは、自然保護協議会会員企業とNGOによるパネル展も同時開催され、33の企業やNGOの環境・自然保護に関する活動紹介の展示、相互交流が行われた。

今回のシンポジウムには、300名を超える大勢の来場者があり、生物多様性に関する問題と、「日本経団連生物多様性宣言」への関心の高さがうかがえた。


【日本経団連自然保護協議会】
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