日本経団連タイムス No.2951 (2009年5月21日)

自由民主党と政策を語る会開催

−当面の経済政策などで意見交換


日本経団連(御手洗冨士夫会長)は14日、東京・大手町の経団連会館で自由民主党と政策を語る会を開催した。自民党からは保利耕輔政務調査会長、園田博之政務調査会長代理、与謝野馨財務・金融・経済財政担当大臣が出席、日本経団連からは、御手洗会長、三村明夫副会長、渡文明副会長、森田富治郎副会長、榊原定征副会長、前田晃伸副会長、大橋洋治副会長、岩沙弘道副会長、大橋光夫評議員会副議長・政治対策委員長はじめ318名が参加した。

御手洗会長は冒頭、「麻生内閣は未曾有の危機から脱するべく、切れ目ない経済対策の実行に全力を挙げており、大変心強く感じている。特に、本年度の補正予算は規模と内容の両面において、非常に強力な経済対策となっており、高く評価している。関連法案を含め、一刻も早い成立をお願いしたい」と述べた。加えて、「『今日の危機』を乗り切るためには、『明日の日本』についての明確なビジョンを打ち出し、国民の支持を得ていくことも不可欠だ」「急速な少子化・高齢化、深刻な財政赤字などの中で、社会保障への信頼が薄れ、国民の将来の展望が失われつつある。今こそ政治の責任として、ピンチをチャンスに変え、国民を鼓舞してもらいたい」とあいさつした。

続いて、自民党の保利政調会長は、冒頭、「昨年来、2008年度第一次補正予算、2008年度第二次補正予算、2009年度予算と原油価格高騰や金融危機に対応した経済対策を策定・実行してきた。しかし、2009年度予算の審議中も実体経済の悪化が続いたため、本予算成立の直後に補正予算の編成に着手するという異例の対応を行った」と述べた。また、社会保障費が増大する中にあっては、景気回復を前提とした税制の抜本改革が不可欠であると指摘。「自民党は日本の将来を担う責任政党として、この問題を避けて通ることはしない」と強調した。

園田政調会長代理は、「2009年度補正予算の編成に際し、麻生総理からは、多年度にわたっての持続可能性があること、また、数年後に新たな成長力となり得ることを念頭に日本経済発展の仕組みを検討するよう指示を受けた」と述べ、「経団連はじめさまざまな経済団体から意見を聞き、将来の成長力強化をねらった重点投資型の政策を盛り込んだ」と説明した。さらに、次の総選挙においては、世襲制と国会議員の定数削減が焦点になり得るとの見方を示し、「世襲を法律で禁止することはできないが、党として何らかの規制をし、多彩な人材が立候補できる仕組みを検討したい」と述べた。

与謝野大臣は、「実体経済の急激な悪化に対応するため、補正予算を編成した。内閣府の試算では、一連の景気対策によりGDPを1.9%ほど押し上げ、今年度のGDPはマイナス3.3%程度にとどまる」との見通しを述べた上で、「現在、失業率は4.8%だが、過去最悪の5.5%を絶対に超えさせないという決意だ」と強調。さらに、経済危機を脱した後の成長戦略について、「アジアは人口が多く消費購買意欲も盛んで、伸びしろが大きい。アジアの需要を取り込み、アジア全体を一つの成長センターととらえることが重要だ」と述べた。

日本経団連からは、「中長期的には持続可能な社会保障制度の構築を中心課題として、消費税を含む税制抜本改革を行い、財政規律を維持することが重要だ。社会保障制度改革を進め、国民の将来不安を解消すれば、消費拡大も期待できる」(森田副会長)、「わが国は世界最先端の低炭素社会を実現している。ポスト京都議定書については、主要排出国が参加した公平な国際枠組みが構築されるよう働きかけてほしい。特に、外国企業と同じ条件で競争できるという国際的公平性の担保が重要だ」(三村副会長)、「道州制を導入し、道州がグローバルな視野に立った主体的な地域経営を行うことで、より効果的に地域活性化を進めることができる。また、地域活性化のためには空港や港湾の競争力強化が不可欠であり、さらなる貿易円滑化に向けた取り組みを進めてほしい」(渡副会長)などの意見が示された。

【政治社会本部】
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