日本経団連タイムス No.2951 (2009年5月21日)

PFI法改正法案への対応を審議

−稗田内閣府参事官が説明/都市・地域政策委員会PFI推進部会


日本経団連は11日、東京・大手町の経団連会館で、都市・地域政策委員会PFI推進部会(小倉勝彦部会長)を開催した。同部会では、内閣府民間資金等活用事業推進室の稗田昭人参事官を招き、自由民主党PFI推進調査会が示したPFI法改正案について説明を聴くとともに意見交換を行った。稗田参事官の説明は以下のとおり。

■ PFI法の見直しに向けた動き

PFI法は1999年に成立し、2001年、05年にいずれも議員立法により改正が行われた。PFIを取り巻くその後の環境の変化を踏まえ、現在、自民党PFI推進調査会において、PFI法改正法案の検討が進められている。今後の予定は確たることはいえないが、PFI推進調査会で改正法案を取りまとめた上で、与党内で承認されれば、国会提出されることになろう。

■ PFI法改正法案の概要

今回の改正の主な項目としては、(1)PFIの対象の明確化(2)PFIの活用による地域の活性化(3)PFI事業の円滑な推進――がある。

「PFIの対象の明確化」については、PFI事業の対象として、今回新たに、高齢者向けの優良な公的賃貸住宅、ならびに公用に供する船舶、航空機、人工衛星等を加えている。また、民間事業者が実施する事業がばらばらに契約されることのないよう、PFI事業の一括性の確保のための措置を講じる。

「PFIの活用による地域の活性化」については、実施方針の段階から民間事業者の意見を求める手続きを条文に明示した。また、民間事業者の選定にあたって、地域住民との交流、来訪者の増加その他の地域の活性化に資すると認められる事項を評価することにする。

「PFI事業の円滑な推進」については、現行法では、業務要求水準や、事業者側からの提案に関する対話について、特段の位置付けがない。改正法案では、業務要求水準自体を法律上位置付けて、それに対する質問、回答、意見、対話を条文に明示して制度化する。また、事業者の技術、創意工夫、経営資源を活用した高度な提案に対して、審査を踏まえた上で、予定価格を弾力的に設定できるようにする。

当日は、稗田参事官の講演の後、今回の改正法案に対するPFI推進部会としての意見を取りまとめ、自民党PFI推進調査会の関係議員に対して働きかけを行った。

同意見では、改正法案に、日本経団連がかねて提言してきた「事業者選定手続における対話の法律への位置付け」「予定価格の弾力的運用」「選定手続の透明性の確保・向上」「新たな分野へのPFIの導入」などが取り入れられていることを評価した。その上で、PFI制度がより一層、有効に活用されるための課題として、「PFIの案件形成・運営に対する支援体制の整備」「多段階選抜・本来の競争的対話の導入」「参考価格、または予定価格の算定根拠の提示」を挙げ、今後、必要な制度改正の検討を進めるよう求めている。

【産業政策本部】
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