日本経団連タイムス No.2952 (2009年5月28日)

ズン・ベトナム首相と御手洗会長が懇談

−日越戦略的パートナーシップ、さらなる発展を確認/経済関係の展望で意見交換


日本経団連は22日、東京・大手町の経団連会館で、国際会議出席のため来日したベトナム社会主義共和国のグエン・タン・ズン首相を歓迎し、昼食懇談会を開催した。同首相の訪日は、3年ぶり2回目となる。昼食懇談会には、御手洗冨士夫会長をはじめとする日本経団連幹部9名が出席し、ベトナム経済の現状および日越経済関係の展望をめぐり、意見交換を行った。4月のマイン共産党書記長に引き続くベトナム要人の訪問により、ベトナムと日本経団連の交流がより密接になった。


あいさつするズン首相(左)

■ 「戦略的パートナーシップ」を歓迎

懇談会の冒頭、御手洗会長は、まず日越が「戦略的パートナー」としてその関係を一層緊密なものにしつつあり、さらなる発展のため、今後は日越経済連携協定(EPA)と日越共同イニシアティブを車の両輪として活用していきたいと述べた。また、世界経済の成長センターであるアジアの貿易・投資の促進およびメコン地域の広域インフラ開発における両国の協力の推進を呼びかけた。

続くズン首相のスピーチでは、両国の関係が「戦略的パートナーシップ」にまで高まったことを歓迎し、日越経済が貿易投資、EPA、ODAのいずれの面においても進展していることを高く評価するとの見解が示された。

■ ODA増額と直接投資の拡大が必要

ズン首相は続いて、昨今の経済危機下にあっても、ベトナム経済が5〜6%のプラス成長を維持しており、外貨準備高や消費者物価指数等のマクロ経済指標も安定した数値を示していることを説明。一方で、「ベトナムはまだ発展途上にある国であり、1人当たりGDPは1050ドルにすぎない」として、今後も持続的な経済発展を続けていくため、対越ODAの増額と直接投資の拡大についてわが国経済界の協力を求めた。ズン首相はさらに「ベトナムでの日本企業の成功は、ベトナム経済への貢献のみならず、日越間の友好な関係の発展にも貢献する」と述べ、日越関係における企業活力の重要性を強調した。

■ 投資環境改善等を支援

懇談会の席上、加藤進日本ベトナム経済委員長から日越共同イニシアティブについての説明があり、同イニシアティブにより対越投資環境が大幅に改善したことを踏まえ、現在進行中の第3フェーズにおいてもズン首相のリーダーシップの発揮を求めた。これに対し、ズン首相も「全面的に支援する」と答えたほか、日越間の新たな協力分野やメコン地域開発におけるベトナムの役割等、幅広い分野の要請に対し、前向きな姿勢を示した。

閉会あいさつで、御手洗会長は、「今日の懇談を通じて、日越関係が今後も着実に進化していくことを実感した」と締めくくった。

【国際協力本部】
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