日本経団連タイムス No.2954 (2009年6月11日)

民主党と政策を語る会開催

−経済危機対策や道州制などで意見交換



あいさつする鳩山民主党代表

日本経団連は1日、東京・大手町の経団連会館で「民主党と政策を語る会」を開催した。民主党からは、鳩山由紀夫代表、岡田克也幹事長、直嶋正行政策調査会長、藤井裕久税制調査会長ら8名が出席。日本経団連からは、御手洗冨士夫会長、渡文明副会長、森田富治郎副会長、前田晃伸副会長、大橋洋治副会長、岩沙弘道副会長、清水正孝副会長、渡辺捷昭副会長、大橋光夫評議員会副議長、池田弘一評議員会副議長、岡素之評議員会副議長はじめ会員企業関係者が参加した。

冒頭、御手洗会長は、「わが国はいま、未曽有の危機の真っただ中にある。大胆な経済対策を速やかに実行すると同時に、責任ある改革のビジョンを示し、国民に明るい将来の展望を拓くことが求められる」と述べ、補正予算関連法案の一刻も早い成立と社会保障などについての改革案の提示を求めた。

続いてあいさつに立った民主党の鳩山代表は、「われわれも日本経済が未曽有の危機にあると認識しており、一昨年より緊急経済対策が必要だと主張し続けてきた。しかし、政府は昨夏まで対策を講じようとはしなかった」とこれまでの政府の対応を批判。加えて政府の経済危機対策については、「補正予算関連法案の成立を邪魔するつもりはない。しかし、政府の経済危機対策は本当に経済対策として機能するのか、疑問に感じている」と述べた。

岡田幹事長は、地球温暖化への対応をめぐり、「経団連と民主党の考え方が異なっている」と述べた上で、2020年時点での温室効果ガス排出削減の中期目標については、「民主党としては、90年比25%削減とすべきだと考えている。厳しい目標には違いないが、これを成し遂げることで産業競争力を強化することができる」とした。

意見交換では、日本経団連側から、経済危機対策について「大規模な財政出動を伴う経済対策の早期実行が待ったなしだ。政局より政策で対応してほしい」(渡副会長)、社会保障については「(民主党が言うように)財源を捻出するために行政の無駄を省くことも重要だが、それだけでは事態は急速に逼迫の度を増していく。歳入面の改革をスピーディーに進めるべきだ」(森田副会長)との意見が出された。

これに対し直嶋政調会長は、「たとえ補正予算関連法案が未成立でも、既に経済対策の9割は実施可能となっている」と述べた上で、社会保障の財源については、「今後4年間は、消費税を上げる必要はない。消費税を上げれば、行政の無駄を省くために入れるメスが甘くなる」と発言した。また、温室効果ガス排出削減の中期目標については「民主党が主張する90年比25%削減では国民負担が大幅に増加する」(清水副会長)、労働者派遣法の改正案については「(民主党が検討している)製造派遣の原則禁止等が盛り込まれれば、雇用機会が大きく阻害されるおそれがある」(大橋副会長)との懸念がそれぞれ表明された。

道州制について日本経団連側は、「中央集権体制から地域自立体制に転換するための手段」(池田副議長)としてその必要性についての理解を求めたが、民主党側からは「地方分権の推進についての方向性は経団連と共有しているが、すぐに道州制を導入すべきだとは考えていない」(直嶋政調会長)との発言があった。

民主党は企業・団体の政治寄付を全面禁止する法案を国会提出した。これについて大橋副議長は、「経団連としては、企業や企業人も政策や政治のあり方について積極的に発言し行動すべきだと考えている。企業の社会貢献の一環として、政党本部への寄付を促進している」と発言、その上で「企業・団体の政治寄付を全面禁止した場合、党や議員は本当に対応できるのか」と質した。これに対し直嶋政調会長は、「昨今も政治資金をめぐる犯罪がみられることを考えれば、企業・団体寄付に問題があることは否定できない。企業・団体寄付禁止の後は、個人寄付を中心とした制度としたい」と述べるとともに、「廃止までの3年間は引き続きご支援を賜りたい」と発言した。

【政治社会本部】
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