日本経団連タイムス No.2954 (2009年6月11日)

投資環境の整備状況などで説明を聴く

−ナハヴァンディアン・イラン商工鉱会議所会頭と懇談


日本経団連は5月29日、都内でナハヴァンディアン・イラン商工鉱会議所会頭との懇談会を開催した。当日は、ナハヴァンディアン会頭から民営化を含むイランの投資環境の整備状況について説明を聴いた上で意見交換を行った。ナハヴァンディアン会頭の発言は以下のとおり。

エネルギー分野における日本企業の積極的参画を

日・イランの外交関係が樹立されて今年で80周年を迎え、両国は、経済面はもとより、文化、社会の面でも深い関係を築いてきた。イラン産業界は、日本企業が質の高いパフォーマンスを続けてきたこと、また何よりもすばらしい倫理観を持ち合わせていることに敬意を払っている。しかしながら、日・イランの経済関係がここ数年のイランの高い経済成長に見合うほど発展したとは必ずしもいえない。イランは今般の経済危機の影響が最も小さかった国の一つであり、日本企業にとっても直接投資等を通じたビジネス・チャンスがあふれていると確信している。

世界的なエネルギーの安定供給を確保するためには、今後25年間で20兆ドルの投資が必要との試算がある。現在は経済危機のためエネルギー需要が低迷しているが、各国の経済が回復すれば、エネルギー需給は再び逼迫する。今こそエネルギー開発投資が必要であり、天然ガス埋蔵量世界第2位、石油埋蔵量世界第3位のイランをその対象から除外することは現実的ではない。エネルギー分野における日本企業の積極的な参画を求める。

イランでは、民営化のための構造改革が進展している。従来は経済の80%以上が公的企業の下にあったが、3年前に民営化に関する法案が通過した。同法は、10年以内に政府が公的企業の大半を売却するよう定めており、特定の分野を除いて政府による新規投資を禁じている。また、競争評議会が創設され、独占禁止法の運用を通じた適切な競争条件の担保に努めている。商工鉱会議所は民営化プロセスのモニタリング機能を担い、競争評議会をはじめ行政判断を下す評議会における発言権を有している。現在、製油、発電、輸送インフラ、建設業等、あらゆる分野に民間企業が誕生しつつあり、日本企業がイランに進出した場合、信頼できる民間のパートナーを見つけることができると確信している。

以上のとおり、イランのビジネス環境は改善されつつある。契約関係についても従来から制度的枠組みが存在しており、度重なる改正を通じて国際的なスタンダードが導入されている。例えば仲裁に関しては、国内裁判所のみならず、商工鉱会議所が国際法の諸原則に準拠して実施することも可能である。また国際商業会議所(ICC)による国際仲裁という選択肢もある。商工鉱会議所としては、外国企業、ホスト国双方の利益を確保しつつ、公平な条件でビジネスができるよう努めている。

【国際協力本部】
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