日本経団連タイムス No.2956 (2009年6月25日)

官房長官主宰の高度人材受入推進会議が報告書取りまとめ

−高度外国人材受け入れを国家戦略として推進/経済界の意見反映した内容に


昨年の「経済財政改革の基本方針」、いわゆる骨太の方針は「経済成長のカギは人材であり、今、多くの国が高度人材を集めることにしのぎを削っている」と指摘し、国際的な人材獲得競争にわが国が乗り遅れないための必要な施策を検討するため、高度な外国人材の受け入れを議論する「推進会議」を設置することを決定した。これを受けて昨年12月、河村官房長官が主宰する「高度人材受入推進会議」(議長=田中直毅国際公共政策研究センター理事長)における議論が開始され、5月29日に報告書「外国高度人材受入政策の本格的展開を」が取りまとめられた。同会議には、日本経団連を代表して榊原定征副会長が委員として参加するなど、積極的に経済界の考えを伝えてきた。

今回の報告書の特筆すべき点は、高度外国人材の受け入れを国家戦略に位置付けた上で、内閣としての戦略の企画・立案や関係各省の施策の調整を行う政府横断的な「推進組織」の設置が示されたことである。5月の経済財政諮問会議においてこの報告書が議題となった際、麻生総理からは「高度人材の受け入れについては、グローバルな競争に後れを取らないよう、推進組織を設置し、外国高度人材の受け入れを国家戦略と位置付け、取り組んでほしい」との指示も示された。

日本経団連が4月に公表した提言「競争力人材の育成と確保に向けて」においても、外国人受け入れのための一体的、統合的な体制を整備するため、内閣に「多文化共生社会推進本部」を設け、関係省庁が一体となって施策に取り組んでいくことを提案しており、今回の報告書で示された推進体制は、こうした体制整備の第一歩となり得るものとして期待される。

今後は、報告書に示されている推進組織が有効に機能し、外国人材受け入れの施策が効果的に実施されるよう制度設計を行っていく必要がある。

報告書ではこのほか、「ポイント制」を活用した「優遇措置」を導入して高度人材の受け入れを促進することや、留学生の積極的受け入れ、外国人の生活環境の改善などを盛り込んでおり、経済界の意見を反映した内容となっている。


※報告書本文URL=http://www.kantei.go.jp/jp/singi/jinzai/dai2/houkoku.pdf

【産業政策本部】
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