日本経団連タイムス No.2958 (2009年7月9日)

日韓EPA早期締結に両国経済界が大きな期待

−両国首脳と御手洗会長が懇談



懇談する左から御手洗会長、李大統領、麻生首相

日本経団連は6月28日、都内のホテルで、全国経済人連合会(全経連)をはじめとする韓国経済界との懇談会を開催し、日韓の産業協力の現状や、日韓経済連携協定(EPA)の交渉再開、早期締結に向けた両国経済界の取り組みなどについて意見交換を行った。また、同日、首相官邸で行われた、韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領および麻生太郎総理大臣、関係閣僚との会合では、御手洗冨士夫日本経団連会長から、経済界懇談会の内容を報告するとともに、日韓EPAに対する両国経済界の強い期待を表明した。

■ 両国の経済関係は着実に深化

懇談会には、日本側から、御手洗会長をはじめとする日本経団連首脳、岡村正日本商工会議所会頭、下妻博関西経済連合会会長、中小企業連合会会長など16名が、また、韓国側からは、趙錫来(チョ・ソンネ)全経連会長をはじめ、韓国を代表する企業グループの代表や、大韓商工会議所、韓国貿易会、中小企業中央会といった主要経済団体の代表など19名が出席した。

冒頭、御手洗会長が開会あいさつを行い、「日韓両国の経済関係は着実な深まりを見せている。両国は保護主義に走ることなく、WTOドーハラウンドの早期妥結に向けて連携し、日韓EPAの早期締結を図ることが重要である。両国はアジア諸国が十分な成長力を発揮できるように物流インフラ構築や、環境整備に貢献していく必要がある」と述べた。

続いて、趙全経連会長があいさつし、「日韓の産業協力は韓国工業団地への日本企業の進出、中小企業間の取引活発化など確実に進展が見られる。日韓EPA交渉再開については共に努力したい」と述べた。

懇談では、産業協力の現状、環境・省エネルギー協力、観光協力、中小企業協力、EPA推進といったテーマについて両国代表から相互に発言し、意見交換を行った。

■ 経済界はEPAを共に推進

両国経済界の懇談会終了後、首相官邸で行われた両国首脳および関係閣僚との会合において、御手洗会長は、「韓国側代表と実質的で有意義な話し合いを行い、将来有望な環境・省エネルギー、観光等の分野で、引き続き協力を進めることで一致した。昨年2月の両国首脳会談で始まった『日韓新時代』の象徴的な成果としてEPAが結実することができれば、経済界のみならず両国国民の大きな財産、喜びになる」と発言した。

李大統領は、閉会のあいさつで「日韓経済関係の促進に向けた両国経済人の努力に敬意を表する。EPAについては両国経済人が深い関心を抱いていることを改めて認識した。両国が相互の問題点に関する理解を進めることが大切である」と述べた。

■ 政府間交渉の進展に期待

日本経団連は1983年から全経連首脳との間で定期的に懇談会を行っている。また、2008年からは、李大統領就任を契機として、福田康夫首相(当時)の発案により、日本経団連、全経連を中心とする「ビジネス・サミット・ラウンドテーブル」が設置され、4月、10月の2回にわたり、日韓EPA交渉の再開を念頭に、産業協力の推進方策について話し合いを行った。また、今年1月には麻生首相の訪韓に御手洗会長はじめ日本経団連首脳も同行し、大統領府において両国首脳と懇談した。今回の一連の懇談会、会合はこうした経緯を踏まえて行われたものである。

EPAについては、7月1日に両国政府の審議官級協議が開催され、交渉の促進が期待される。

【国際協力本部】
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