日本経団連タイムス No.2960 (2009年7月23日)

改正労基法・実務セミナー開催

−弁護士を招き解説聴く/日本経団連事業サービス



セミナーで解説する中山弁護士

日本経団連事業サービスは8日、東京・大手町の経団連会館で日本経団連との共同企画により、「改正労基法・実務セミナー」を開催した。

改正労働基準法は長時間労働の抑制や労働者の健康確保、仕事と生活の調和等を図ることを目的に2010年4月1日に施行されるが、5月29日に同法の具体的な内容・手続き等を定めた改正省令・告示、関係通達等が公表された。これを受け、同セミナーでは、企業の人事・労務担当者向けに、これらの内容を踏まえた改正労基法対応の実務ポイントについて、弁護士を招き解説を行った。

セミナーでは、労働問題を専門とする経営法曹会議所属弁護士で同事務局長の中山慈夫弁護士から、今回の改正のポイントである(1)限度時間(1カ月45時間)を超える時間外労働の割増賃金率の引き上げ(25%超とする努力義務)(2)1カ月60時間を超える時間外労働の割増賃金率の引き上げ(50%以上への義務化)(3)代替休暇による精算制度の導入(4)時間単位年休制度の導入――などについて、解説するとともに質疑応答を行った。

中山弁護士は、実務上のチェックポイントとして、(1)については特別条項付き36協定の記載事項として「限度時間を超えて延長する場合の割増率」が追加されること(2)については時間外労働の時間数に法定休日はカウントされないが法定外休日はカウントされること(3)については代替休暇の取得や取得日は労働者の意向を踏まえて決めること(4)については取得時間帯や回数制限を設けることは不可能なこと――など、具体的な計算例や事例を示しながら、わかりやすく解説を行った。

また、今回の改正に伴い、各企業においては就業規則の見直し、労使協定の締結等が必要になるが、各社の取り組みの参考となるよう、具体的な就業規則の記載例や労使協定例などの資料を紹介しながら説明した。

続いて行われた参加者との質疑応答では、時間単位年休の時間帯指定や半日年休との併用の可否、法定休日と法定外休日の区別の仕方等、実務面で今後想定される諸課題について、多くの質問が出された。

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同セミナーでは参考図書として、日本経団連出版が2日に発行した「Q&A改正労基法早わかり」(日本経団連事務局編著)を配布した。同書はQ&A形式を用いて、改正労基法のポイントを詳解。最新の厚生労働省通達内容も反映したものとなっており、今後の各企業の規程等見直しにあたっての手引書として利用できる内容となっている。
同書の購入に関する問い合わせは、日本経団連出版(電話03‐6741‐0043)まで。

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