日本経団連タイムス No.2961 (2009年7月30日)

民間人校長が着任後の状況や経済界への要望などを説明

−教育問題委員会企画部会・教育と企業の連携推進ワーキング・グループ


日本経団連は22日、東京・大手町の経団連会館で、教育問題委員会企画部会(藤江一正部会長)を開催し、同会推薦校長として今年4月に着任した東京都立橘高等学校の中村謙一校長から、着任しての所感や経済界への要望について聴くとともに、東京都教育庁の三浦英美教職員任用担当課長から今年度の民間人校長の採用に関する方針等について聴いた。あわせて、昨年に引き続き文部科学省の小学校における「理科支援員等配置事業」への協力要請について紹介した。

また、今年度、横浜市教育委員会との間で、同市立小中学校での企業による出前授業実施の可能性を模索している、教育問題委員会の教育と企業の連携推進ワーキング・グループ(小川理子座長)では6月30日に会合を開催し、今年2月に出前授業を受け入れた同市立藤の木中学校の種井和子、遠藤まり両教諭を招き、受け入れ校としての経験等について聴くとともに意見交換した。説明の概要は次のとおり。

<企画部会>

1.着任して4カ月の所感と経済界への要望(中村橘高校校長)

都立橘高校は、全国でも珍しい「産業科」高校である。「産業科」高校では、ものづくりから流通、販売までを広く浅く学ばせている。ITの利活用や英語のリスニングなど実践力の育成にも力を入れている。
先生たちは熱心だが、世の中の環境変化には対応できていない。目標を設定することも、それを達成することも得手ではなく、組織的な仕事は苦手である。
生徒たちは、言われたことはやるが言われないとやらない傾向があるので、就職を希望する生徒には、得意分野を持たせること、コミュニケーション能力を強化すること、マナーを守らせること等を重点的に指導している。
日本経団連の会員企業には、春と秋に実施している授業公開週間に、ぜひ学校を視察に来てほしい。また、夏休み等を活用した3〜4日程度のインターンシップを受け入れてもらいたい。そして、会員企業の子会社・関連会社などから、ぜひ求人票を出してほしい。

◇本件問い合わせ先
東京都立橘高等学校校長・中村謙一
(電話:03‐3617‐8311、e‐メール: kenichi_2_Nakamura@member.metro.tokyo.jp )

2.民間企業出身の都立高校校長の任用への推薦依頼(三浦課長)

組織運営に関する経験や能力、特に顧客満足度やコンプライアンス、人材育成に秀でていることから、東京都はこれまでに7人の民間出身校長を採用したが、うち2名は昨年度、日本経団連から推薦された者である。これまでの経験から、民間出身校長は、特に実社会と連携した実践的な教育が求められる専門高校(産業高校・商業高校等)や総合学科高校の校長に適しているとの評価結果が出ているので、今年度は、総合学科高校の校長を1名採用する。詳細は以下に問い合わせてほしい。

◇本件問い合わせ先
東京都教育庁人事部職員課教職員任用担当課長・三浦英美
(電話:03‐5320‐6791、e‐メール: Hidemi_Miura@member.metro.tokyo.jp )

3.理科支援員等を募集中(文部科学省)

文部科学省は、小学校における理科授業の充実等を目的として「理科支援員等配置事業」を実施しており、今年度も配置校の増加をめざしている。昨年度に続き、日本経団連にも協力要請があった。事業についての詳細、問い合わせ・応募窓口等については、以下のホームページを参照のこと。
※URL=http://gakushu.tokyo.jst.go.jp/scot/

<教育と企業の連携推進ワーキング・グループ>

継続的な協力を希望(種井藤の木中学校教諭)

横浜市では、中学校段階のキャリア教育と進路指導を徹底すべく努力している。藤の木中学校は昨年度、神奈川経済同友会と日本経団連に出前授業の依頼をした。授業を行ったのは今年2月末だが、依頼をしたのは昨年11月であり、かなりの手間をかけた上で実施し、フォローアップもしている。他の学校に横展開するためには、この手間がハードルになろう。
授業を実施する企業が、授業の目的、使用機材、おおよその時間配分などをまとめた資料を用意するよう望みたい。
日本経団連会員企業の出前授業は、教員からも生徒からも高い評価を得ており、今年度も引き続き協力してほしい。具体的には、来年2月、キャリア教育の出前授業の実施を要請したい。また、年末までの間に、環境教育に関する出前授業もお願いしたい。

【社会広報本部】
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