日本経団連タイムス No.2962 (2009年8月6日)

「日本・メキシコ経済連携協定の再協議に関する要望」公表

−利用者の利便性向上や両国経済関係強化に期待


日本経団連(御手洗冨士夫会長)の日本メキシコ経済委員会(小枝至委員長)は7月22日、「日本・メキシコ経済連携協定の再協議に関する要望」を取りまとめ、公表した。
2005年4月に発効した日本・メキシコ経済連携協定(日墨EPA)は、5年目を迎え、再協議が行われることとなった。同要望は、再協議の機会に、過去数年の間に明らかになった現行協定の課題を解消し、時代に即したより質の高いEPAへと改定することをねらいとしている。日本メキシコ経済委員会では、今後、関係方面に対し、要望の実現を働きかけていく。
具体的な要望の概要は以下のとおり。

■ 物品貿易の自由化促進

一部の品目では、関税が段階的に削減されており、先行してメキシコとFTAを締結した北米やEUに比べ、不利な立場にある。関税撤廃スケジュールの短縮を強く求める。
メキシコの最恵国待遇(MFN)税率の引き下げにより、一部の品目では、EPA税率との逆転現象が発生している。政府はEPA税率とMFN税率を容易に比較できるデータベースを整備、公表すべきである。さらに、(1)MFN税率を引き下げる場合は相手国に通報する(2)自動的に有利な税率が選択される(3)MFN税率が下がる都度EPA税率をそれ以下にする――などの対応規定を盛り込むべきである。

■ 利便性の高い原産地証明制度の導入

原産地規則がわかりにくく煩雑であり、また年度末の申請手続きに空白期間が生じているとの指摘もあることから、原産地証明制度の一層の簡素化、円滑化が図られるような制度改善が求められる。このほか、原産品の認定基準についても他のEPAの原産地規則との平仄を合わせるべきである。
原産地証明書の発給期間の短縮や手続きの単純化のため、日墨EPAにおける現行の第三者証明制度に加えて、認定輸出者による自己証明制度を選択可能にすべきである。
なお、自己証明制度の導入にあたっては、認定輸出者の責任範囲を明確にすることも重要である。

■ 政府調達への新基準の導入

環境面への配慮から、納入時の価格のみでなく、エネルギー効率が良く、ライフサイクルコストの観点で低コストとなる製品の導入を促進する基準をメキシコ側に設けることを求めるべきである。

■ 投資・ビジネス環境の改善

日墨EPAにより設置されたビジネス環境整備委員会の成果が報告されているが、治安の改善に向けた早急な対策が求められる。
さらに、知的財産権の保護、通関、安全規格の見直し、物流インフラの整備などについて、一層の改善が必要である。

【国際協力本部】
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