日本経団連タイムス No.2967 (2009年9月17日)

CSR(企業の社会的責任)調査結果公表

−経済危機下でも取り組み姿勢など不変/CSRの共通認識形成


日本経団連は2005年に引き続き、「CSR(企業の社会的責任)に関するアンケート調査」を全会員企業を対象に実施し、15日、その結果を公表した。今回の調査は、CSRが企業経営の中で、どのように位置付けられ、実践されているかを明らかにするとともに、推進上の課題を整理・分析する目的で実施した。加えて、昨年秋以降の急激な経営環境の変化の中で、各社の取り組みにどのような変化がみられるかについても調査した。

取り組み上の課題、深化と広がり

同調査結果を通じて、いまやCSRは企業経営の根幹をなすものであり、昨年秋以降の世界的な経済危機にあっても、予算や事業内容の優先順位等を見直す企業はあるものの、CSRに対する理念や取り組み姿勢は変わらないことがわかった。
また、CSRに取り組む上での課題も、企業活動のグローバル化やグループ全体の経営重視という視点から、深化と広がりをみせていた。
調査結果の主なポイントは以下のとおり。

■ CSR活動の意味

CSR活動の意味については、「持続可能な社会づくりへの貢献」「企業価値創造の一方策」ならびに「企業活動へのステークホルダーの期待の反映」の3つに回答が集約され、CSRの共通認識が形成されつつある。

■ CSRへの取り組み状況

前回調査の05年に比べ、「方針・戦略の明確化」や「推進体制の整備」「従業員の教育・研修」「情報開示」への取り組みが進んだとする回答が7割を超えた。
また、CSRの方針が適用される範囲は、国内外の連結対象会社や関連会社に広がっている。
このような中、CSR推進上の具体的な課題として、国籍、業種・業態、企業文化の異なるグループ各社の多様な従業員に対する教育や、広報の難しさを挙げている企業が多くみられた。

■ CSRに関する情報開示

情報開示は、ほとんどの企業で行われている。開示方法は、95%がインターネットで開示しており、紙媒体を上回った。
開示内容については、ほとんどの企業が、「環境」「地域貢献を含む社会貢献」「CSRに関する基本的考え方」「トップのメッセージ」を開示している。また、約半数の企業が「不祥事への対応状況も開示している」と回答した。

■ CSR推進の参考にしているガイドライン

約7割の企業が日本経団連の「企業行動憲章実行の手引き」「CSR推進ツール」を挙げており、最も多く活用されていることがわかった。その次に多かったのが「国際的なイニシアチブ」であり、企業活動のグローバル化の進展を裏付けている。

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具体的な調査結果は、会員各社から寄せられた個別の活動事例を含め、日本経団連のホームページ(http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2009/075/index.html)上で公開しているので、参照いただきたい(個別事例は9月中に開示予定)。

【政治社会本部】
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