日本経団連タイムス No.2968 (2009年10月1日)

NICC協議会が第8回総会

−研修修了者の成果報告など聴く


日本経団連国際協力センター(NICC)を支援しているNICC協議会(立石信雄委員長)は9月18日、東京・大手町の経団連会館で第8回総会を開催した。当日は、NICCから2009年度事業の進捗状況の報告を受けたほか、キヤノングローバル戦略研究所の瀬口清之研究主幹から、米中経済の動向について説明を聴くとともに、NICC研修修了者から研修成果を聴いた。

冒頭、立石委員長は、アジア各国の経営管理者の育成を通じて、現地の健全な労使関係の基礎づくりに貢献してきたNICC事業の意義を強調するとともに、NICC事業を支援している協議会委員企業に対して感謝の意を表し、引き続きの支援を呼びかけた。

■ 瀬口氏講演概要

世界経済が危機からの脱却を模索する中、米国と中国の経済動向が注目される。米国経済が回復するには個人消費の拡大が不可欠であり、これには数年を要する。一方、中国経済については、バブル等の懸念材料はあるものの、既に高度経済成長軌道に復帰している。中国の内需拡大は日本製品に対する需要を押し上げるなど、日本企業にとって大きなチャンスである。中国の技術水準が今の日本に追いつくにはまだ数年以上かかると予想される。引き続き日本が技術水準の優位性を確保するには、さらに先進技術を開発していかなければならない。

■ 修了者報告

これまでのNICC研修事業に参加した中国、タイ、韓国の元研修生代表から、NICC研修の成果について報告があった。

中国の代表的な経営者団体である、中国企業連合会に勤務している修了者は、6年前にNICCの研修に参加して、従業員の創造性を伸ばす企業内教育訓練の重要性を学び、現在積極的に教育訓練に取り組んでいると報告した。

タイの大手出版社の副社長を務める修了者は、06年にNICCの研修に参加し、その成果を自分の会社の中間管理職教育に応用するのみならず、タイのNICC同窓会組織を通じて、タイ労働省が主催する政府や企業向けの人材育成プログラムにも参画していると紹介した。

韓国最大の転職支援企業の社長を務める修了者は、20年前にNICCの前身機関の研修プログラムに参加し、日本の良好で安定的な労使関係が経済の発展に寄与していることを学び、韓国においてもそのような労使関係を築くために努力していると述べた。

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NICCは1994年に日経連(現日本経団連)が設立、開発途上国の経営者団体の健全な発展ならびに経営管理者の育成をめざし、招聘研修事業などを実施している。NICC協議会は、NICCを財政的に支援している企業で構成され、NICCの活動への理解を深めるとともに、委員企業の意見を集約してその活動に資することを目的としている。

【国際協力本部】
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