日本経団連タイムス No.2973 (2009年11月5日)

市川市の先進的電子行政への取り組みで意見交換

−井堀情報政策監から/情報化部会・電子行政推進部会


日本経団連の情報通信委員会情報化部会、電子行政推進委員会電子行政推進部会(遠藤紘一部会長)は10月23日、東京・大手町の経団連会館で合同会合を開催し、先進的な電子行政サービスで知られる千葉県市川市の井堀幹夫情報政策監(CIO)から、市川市における電子行政の取り組みについて説明を聞いた後、意見交換した。井堀CIOの説明概要は以下のとおり。

市川市では、29種の電子申請サービスの普及や住民基本台帳カードの地域通貨・図書館利用・救急支援などの多目的利用など、電子行政のあらゆる取り組みを行ってきた。住民票・印鑑登録証明書など23種の証明書類等は、休日・夜間でも駅や公民館に設置の自動交付機により交付可能であり、来年からは、全国1万2千店以上のコンビニエンス・ストアで交付可能となる。これは、国・自治体・企業がそれぞれ投資した画期的な官民一体の行政サービスであり、他自治体も少ない投資で参加できる。

また、依然として国と地方の連携が不十分な業務も多く存在している。年間約4万件以上の登記情報通知をはじめ、国民年金異動通知・確定申告書など、地方は、国から多くの紙書類を入手し、同じデータの入力や照合を繰り返しており、無駄やミスが多く発生している。解決には、個人を特定する統一番号の導入や、国と地方が一体となり、業務連携を推進していく意識改革が必要である。

■ 意見交換

続く意見交換では、電子行政先進国の韓国と日本を比較してリーダーシップ以外の違いはあるかとの質問に対し、井堀CIOが、「韓国では、電子行政は国家・国民のために大事なものであるという意識がぶれておらず、国主導ですべての地方に展開している。日本でも、安心・安全な電子行政のコア部分は、国・地方が個別に進めるのでなく、全国でしっかり提供する仕組みが必要である」とのコメントがあった。

最後に、遠藤部会長から、市川市は、井堀CIOの抵抗勢力に向き合う姿勢と強い推進力により、全国有数の先進的な自治体に成長しており、国の電子行政推進にも、国民視点に立ち、何が何でも成し遂げるという強い意志を持つ人材が必要であると述べ、締めくくった。

また、当日は、提言案「ICTの利活用による新たな政府の構築に向けて」を審議し、同部会として承認した。同提言案は、11月6日の情報通信委員会・電子行政推進委員会で審議される予定である。

【産業技術本部】
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