日本経団連タイムス No.2976 (2009年11月26日)

川端文科相との懇談会を開催

−科学技術予算の充実や教育問題などをめぐり意見交換



あいさつする川端文科相

日本経団連(御手洗冨士夫会長)は19日、東京・大手町の経団連会館で、川端達夫文部科学大臣との懇談会を開催した。懇談会には、文部科学省から川端大臣、中川正春副大臣、鈴木寛副大臣、後藤斎大臣政務官、高井美穂大臣政務官の政務三役5名全員、日本経団連から御手洗会長や榊原定征副会長ら17名が出席し、科学技術予算の充実などをめぐり意見交換を行った。

■ 御手洗会長、川端大臣あいさつ

冒頭、御手洗会長は、「わが国の経済は、危機的状況は脱しつつあるものの、依然として予断を許さない」との認識を示した。そのうえで、「資源に乏しいわが国は、科学技術を基盤としたイノベーションの創出によって新しい成長を生み出していく必要がある」と述べ、文科省が担当している科学技術政策や研究開発税制などへの期待を表明した。

続いて川端大臣は、まず「若者の就職環境は想像を絶するほど厳しい」と指摘し、雇用の確保に向けた産業界の協力を要請した。加えて、政府の行政刷新会議の事業仕分けで科学技術予算を削減する判断が出されていることについて、「費用対効果の物差しだけでは科学技術は測れない。事業仕分けは一つの判断基準であり、最終的には政治で予算編成を行う」と述べた。

■ 意見交換

意見交換では、日本経団連側から、榊原副会長が、(1)科学技術予算を拡充し、対GDP比1%超を当面の目標とすること(2)産学人材育成パートナーシップの活動の奨励などにより大学・大学院教育を充実させること(3)研究開発促進税制を拡充・恒久化すること――の3点を要望した。次に渡文明副会長が、「多様性」「競争」「評価」の3つのキーワードで教育改革を進めることを提案し、「中央教育審議会への参画や教育現場に対する支援など、経団連として公教育の充実に向けた協力は惜しまない」と述べた。最後に中鉢良治評議員会副議長が、「環境やエネルギーなど日本が直面している課題を解決するためにも、国民理解を得つつ科学技術予算の拡充が必要」と訴えた。

これらの発言に対し、川端大臣は、「政府の国家戦略室がまとめる第二次補正予算に、科学技術・イノベーションの柱がしっかり見えるようにしていくことが急務であり、産業界と文部科学省の認識は同じである。また、優秀な教師の育成に向け、制度論についての意見交換をお願いしたい」と答えた。

【産業技術本部】
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