日本経団連は17日、政府の予算編成ならびに財政改革の取り組みを踏まえ、提言「経済危機からの早期脱却と生活の安心・充実に向けた財政政策を望む」を発表し、関係方面に建議した。
提言の概要は次のとおり。
2010年度予算の政府案を今年中に策定し、年度内に成立させることが重要である。
2009年度第二次補正予算において、雇用の安定・創出策など追加的な景気対策を講じるべきである。
社会保障分野での新規施策を通じて、制度の不備やほころびへの対応、セーフティネットの拡充を期待。あわせて制度横断的な視点に立って、適切かつ有効な仕組みにすべきである。
高齢化社会への本格的な対応、世界の低炭素社会の実現、生活の利便性の向上、競争力の強化などに向けて、雇用の創出・拡大が期待される分野の人材の育成、基幹的な空港・港湾等の整備、政府研究開発投資の拡充、イノベーション促進税制の拡充が必要である。
デフレと低成長のもとでの財政健全化は困難であり、あらゆる政策手段を講じての、名目成長率の向上が必要。成長戦略を速やかに描き、経済成長力の強化による生活の充実を図るべきである。
あわせて直接税に依存する脆弱な財政基盤、社会保障費の増加といった課題に対応するため、税制抜本改革による安定財源の確保が必要。景気回復を前提に、かつ国民の理解を得ながら、段階的に消費税率を引き上げるべきである。
まずは国から地方への補助金の見直しを機に、国庫補助負担金や地方交付税を改革し、さらに道州制推進基本法の制定による体制整備を行い、国と地方の税・財政制度を再編成すべきである。
政府の歳出見直し、予算編成改革への取り組み姿勢を評価しつつ、透明度・実効性の高い財政運営を実現するための方策を提起している。