日本経団連タイムス No.2978 (2009年12月15日)

ASEANミッションを派遣

−タイ、シンガポール、ベトナムで官民首脳と意見交換


チエット・ベトナム国家主席(左)と御手洗会長

日本経団連(御手洗冨士夫会長)は11月29日から12月5日にかけて、タイ、シンガポール、ベトナムにASEANミッションを派遣した。ミッションには、御手洗会長を団長に、評議員会議長、副会長、関係委員長ほか13名の団員が参加した。

今回のミッションの目的は、アジアが世界経済危機を克服し、持続的な成長を実現していくうえでの課題と、わが国の協力について、各国政府、経済界首脳と意見交換を行うとともに、アジアの成長戦略に関する共通認識を形成することであった。ミッションは、所期の目的を達成するとともに、現地での踏み込んだ政策対話を通じて、日本経団連のアジア重視の姿勢を内外に示すものとなった。

各国政府・経済界首脳との会談では、経済統合の推進で貿易・投資を活性化、広域インフラ整備を通じて経済成長のボトルネックを解消し、結果として経済成長を実現するという日本経団連の提言に対して多くの賛意が得られた。

タイでは、投資の諸問題をワンストップで解消する「投資センター」でアピシット首相と会談し、投資環境整備に向けた取り組みについて熱心な説明を受けた。タイは、すでにASEANの生産ネットワークの拠点としての地位を固めており、投資環境の整備が一段と進むことが期待される。

また、バンコクではASEANのスリン事務総長と意見交換を行い、アジアの広域インフラ整備に係る「アジア総合開発計画」の策定に向け、日本経団連とASEAN事務局が緊密に意見交換を行うことで基本合意した。

シンガポールでは、リー・クアンユー内閣顧問、ゴー・チョクトン上級相らと懇談し、同国のイノベーション戦略やアジア域内の金融協力について意見を交換した。また、今年APEC議長国であったシンガポールは、地域経済統合の当面のゴールをAPEC規模のFTAAP(アジア太平洋自由貿易圏)に置いていることから、アジア太平洋地域の経済統合では、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)を活用すべきとの意見も寄せられた。

ベトナムでは、チエット国家主席、ズン首相らと懇談し、10月1日に発効した日越経済連携協定(EPA)を中心とする日越経済関係の一層の発展について、認識を共有した。また、フック計画投資大臣との会談では、日越共同イニシアティブ(第3フェーズ)について、ベトナムのビジネス・投資環境整備のため、計画どおり履行されるよう働きかけた。

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日本経団連では、これらの成果を来年3月に開催するアジア・ビジネス・サミットに反映させ、東アジア経済共同体実現に向けた議論を加速することとしている。

【国際協力本部】
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