日本経団連タイムス No.2980 (2010年1月14日)

地域主権と道州制を推進する国民会議開催

−「国民運動として展開」など宣言


約500人が参加した
地域主権と道州制を推進する国民会議

日本経団連は、日本商工会議所、経済同友会とともに12月17日、東京・大手町の経団連会館で、地域主権と道州制を推進する国民会議を開催した。当日は、企業、政府、地方自治体、学界をはじめ、幅広い分野から約500人が参加した。

■ 地域主権と道州制の必要性を強調

冒頭あいさつした御手洗冨士夫会長は、「地域主権や道州制の導入は、明治以来の政治、行政のシステムを根底から見直す大改革であり、強い政治のリーダーシップとともに、広く国民の支持を得て一丸となって取り組むことが欠かせない。本会議を通じて、地域主権や道州制を国を挙げた大きなうねりとしたい」との決意を表明した。続いてあいさつした原口一博総務大臣は、「地域主権改革は現政権の一丁目一番地の改革である。基礎的自治体を重視し、地方にさまざまな権限、財源を移すことで、地域主権型社会への転換が必要。そのなかで、地域自らの判断によって道州制や広域連合などの広域的な行政が進むことを期待している」と述べた。

■ 地域主権と道州制の実現に向け意見交換

パネルディスカッションでは、逢坂誠二内閣総理大臣補佐官、松沢成文神奈川県知事、北川正恭早稲田大学大学院公共経営研究科教授、米倉弘昌評議員会議長が登壇。青山彰久読売新聞東京本社編集委員がコーディネーターを務め、活発な意見交換を行った。

そのなかで、逢坂補佐官は、「鳩山内閣が掲げる地域主権国家の基本スタンスは、(1)地域ができることは地域が行い、できないことを国が行う(2)地域のことは地域自らが決める(3)責任ある主体に権限・財源を移す(4)国民に最も身近な基礎自治体を重視する――というものである。そのなかで道州制という選択肢もある。地域主権の実現に向け、政府への依存からの脱却、先進的なモデル地域の確立が必要である」と述べた。松沢知事からは、「道州制は、これまでの中央集権体制を見直し、分権型社会を構築するための改革である。首都圏でも環境分野における広域連合など広域的な取り組みを進めていきたい」との発言があった。北川教授は、「道州制という究極の分権を確立し、中央集権を地域主権へ、官僚主導を政治主導へ、工業社会を高付加価値社会へと変えていくべきである」との見解を示した。米倉議長は、「道州制は分権改革の究極の姿である。道州制の導入に向け、分権改革の着実な推進、先行的な取り組みへの支援、政府の検討体制や法制度の整備、国民の理解の促進などが求められる」と指摘した。

■ 地域主権と道州制の実現に向けた決意を宣言

その後、桜井正光経済同友会代表幹事により、同会議として、「地域主権や道州制への機運を醸成し、国を挙げた国民運動として広く展開し、新しい国のかたちの創造に一丸となって取り組む」ことを趣旨とする大会宣言が行われた。

最後に、岡村正日本商工会議所会頭から、「わが国が国際競争に打ち勝ち、地域活性化を図るためには、道州制が必要である。本会議を契機に、地域主権、道州制の推進に向けた国全体の機運が一層高まることを願う」とのあいさつがあった。

【産業政策本部】
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