日本経団連タイムス No.2982 (2010年1月28日)

COP15の結果概要などで経産省・鈴木産業技術環境局長と懇談

−環境安全委員会地球環境部会


昨年12月にコペンハーゲンで開催された国連気候変動枠組条約第15回締約国会議(COP15)では、「コペンハーゲン合意に留意する」という政治合意がなされ、焦点となっていた2020年の温室効果ガス削減目標を含むポスト京都の新議定書の採択は先送りとなった。一方、わが国を含む先進国は、2010年1月末までに国連に数値目標を提出することとされている。
そこで、環境安全委員会地球環境部会(猪野博行部会長)は15日、東京・大手町の経団連会館で会合を開き、COP15の結果概要などについて、経済産業省の鈴木正徳産業技術環境局長と懇談した。
鈴木局長の説明概要は次のとおり。

■ COP15交渉の推移

12月7〜18日の2週間開催されたCOP15では、最初の1週間、何の進展もなかった。2週目15日の夜にようやく政治宣言の案文作成作業が始まり、最終日18日の首脳級会合までの取りまとめが期待されたが、このプロセスに対し、一部途上国から強い反対が示された。
事態が好転しないなか、17日に100以上もの国・機関の首脳が現地入りした。結局、20数カ国の主要国首脳が政治宣言文案を一語一句チェックし、新興国を含む29カ国の首脳がコミットするかたちを何とか整えた。
しかし、期日を延長し夜を徹した全体会議に諮られた政治宣言に、スーダンや中南米諸国など5カ国が強硬に反対し、19日午前3時ごろ、会議が中断された。同日未明に全体会合が再開された後も反対は根強かったが、協議の結果、同日午後3時頃、「コペンハーゲン合意」に「留意」することとされた。

■ 合意の内容

交渉の結果、合意できた主な点は、(1)先進国が2020年の削減目標を、途上国が削減行動を、それぞれ1月末までに国連に提出すること(2)支援を受けて行う削減行動は国際的な測定・報告・検証(MRV)の対象となること、また、途上国が自発的に行う削減行動も国内検証を経たうえで、国際的なMRVの対象となること(3)先進国が2010-2012年の間に300億ドルの新規かつ追加的な資金による支援を共同で行うとともに、2020年までに共同で年間1000億ドルの資金動員目標を約束すること――などである。(2)については、国際的なMRVに反対する中国との間で大きな議論となったが、支援の有無に応じて検証の仕方を変えることで、合意にこぎつけた。

■ 合意できなかった点

京都議定書では、2008〜2012年の約束期間のCO2総量を規制するとともに、目標を達成できなかった場合、その国の排出超過の1.3倍分を次の約束期間の割当量から差し引くなどの罰則規定が定められている。しかし、米国はこれらを受け入れようとしなかったため、約束期間や罰則規定については全くの未定である。

■ 今後のスケジュール

今後1〜2カ月間の動向は、米国の対応に大きく左右されよう。削減目標の国連への提出に関しては、米国が2005年比マイナス17%(議会承認が前提)、EUが90年比マイナス20%〜30%、日本が条件付きでの90年比マイナス25%、となると想定されており、引き続き関係国間で協議を重ねていくことになろう。

【環境本部】
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