日本経団連タイムス No.2987 (2010年3月4日)

アンシプ・エストニア首相と懇談

−アンシプ首相、ICT分野での先進性強調/横山ヨーロッパ地域委員会共同委員長と


鳩山首相との会談等のため来日したアンドルス・アンシプ・エストニア共和国首相は、経済代表団とともに2月16日、東京・大手町の経団連会館で、横山進一ヨーロッパ地域委員会共同委員長と懇談した。アンシプ首相の発言概要は次のとおり。

発言するアンシプ・エストニア首相

エストニアは、近くOECDに加盟の見込みであり、また、2011年1月からのユーロ導入に向けて着々と準備を進めている。09年末時点の政府債務残高は対GDP比7.8%とEU加盟国のなかで最も低い水準にあり、財政赤字の対GDP比は2.6%の見込みである。ユーロ導入に必要な基準を満たすことは十分可能である。

エストニアでは国民の99%がインターネット・バンキングを利用、90%が納税に際し電子申告制度を利用している。また、05年には市町村レベルで電子投票を実施、昨年は欧州議会選挙でも導入した。ICT(情報通信技術)分野では日本もエストニアも先進的であり、両国企業は良い協力関係にある。

エストニアはオイルシェールの埋蔵量が豊富である。特にオイルシェールの利用に関するノウハウ、技術に優れており、それらを他の埋蔵国でも活かすためには資金面での協力が必要である。他方、オイルシェール依存から脱し、エネルギー源を多様化するため、国内初の原子力発電所を建設したいと考えている。これらの点で、日本企業との協力を模索している。

エストニアのタリン、パルディスキ両港は高水準のサービスを安価に提供している。鉄道を使えば、それらの港をロシアや中東欧諸国にある日系企業の工場の物流拠点として活用することができる。

エストニアは、市場経済、自由貿易を支持しており、日本経団連が推進している日・EU間のEPA(経済連携協定)に関する今後の議論の展開にも関心がある。

【国際経済本部】
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