日本経団連タイムス No.2987 (2010年3月4日)

インドネシアの投資環境について懇談

−ギタ・ウィルヤワン投資調整庁長官から説明聞く/日本・インドネシア経済委員会


説明するウィルヤワン長官(右から2人目)

日本・インドネシア経済委員会(興津誠共同委員長、辻亨共同委員長)は2月17日、来日した、インドネシア共和国のギタ・ウィルヤワン投資調整庁長官を招き、懇談会を開催した。ウィルヤワン長官からは、インドネシアの投資環境の現状と展望に関する詳細な説明を受けるとともに、日本企業の投資に対する大きな期待が表明された。
ウィルヤワン投資調整庁長官の説明要旨は次のとおり。

■ 消費主導から投資主導経済へ

日本はインドネシアに社会、経済、政治など多くの分野で進歩をもたらした。また、2004年のスマトラ島沖大地震の際には日本から真っ先に支援を受け、大変な恩を受けたことは忘れることはない。今後も日本から多くのことを学んでいきたいと思う。
現在、インドネシアは消費主導型から、投資主導型経済に転換すべき時期にあり、投資家が投資しやすい環境づくりを実行したい。財政面の規律については、アジア大洋州各国のなかでも大手格付機関から非常に高い評価を得ている。政府債務の対GDP比率やインフレ率は落ち着いており、外貨準備高も十分確保されるなど、投資適格性は高まっている。

■ 多様な投資促進策を推進

15の関係省庁から投資関連の権限を投資調整庁に委譲し、ワンストップで手続きを行える制度を導入した。例えば以前は複数の省庁にまたがる手続きが必要であった労働ビザの申請・発給も投資調整庁に一本化した。今後、同様の手続きを地方にも拡大していく。あわせて投資手続きの電子化や、関税・通関手続きの簡素化にも取り組む。
また、投資規制業種については、今後、数カ月内に大統領令が出され、通信、物流、医療、教育などの分野で緩和が図られる予定である。
さらに、投資誘致のため、一時免税措置(タックスホリデー)の効果を検証し、特定セクターへの導入も検討したい。

■ 将来性あるインドネシアへの積極投資を

投資促進の中長期的なロードマップでは、まず、天然資源や農産品の輸出による利益を再分配し、大型インフラ投資に活用していく。あわせて人材育成、キャパシティービルディングを進め、産業育成を図っていく。最終的には世界でも競争力のある知識集約型経済を目指していきたい。
インドネシアへの投資促進のため、投資家に有用なデータの提供や、多言語での発信など、プロモーション活動も積極的に展開していく。インドネシアは2億4000万人の人口を有し、その60%が39歳未満と若い。教育への国家予算も大幅に増やしており、人材も期待できる。新しいインドネシアを直に見てほしい。

【国際協力本部】
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