日本経団連タイムス No.2987 (2010年3月4日)

日本経団連フォーラム21、合宿講座を開催

−価値観など主観的側面に焦点を当てキャリアの近未来ビジョンを発表


1年間の講座を締めくくるフォーラム21合宿講座

次代の経営リーダー育成を目的に、昨年5月に開講した第20期「日本経団連フォーラム21」(チーフアドバイザー=御手洗冨士夫日本経団連会長)は2月19、20の両日、1年間の講座を締めくくる合宿講座を行った。講師は大久保幸夫リクルートワークス研究所所長。参加メンバーはこれまでのキャリアを振り返って転機や節目となった出来事などについて語り、価値観、専門性、才能など主観的側面に焦点を当てキャリアの近未来ビジョンを明らかにした。

合宿初日の講義では、大久保講師がまずフォーラムメンバーに対し、「全力で走っているときには視界が狭くなる。キャリアを積み上げてきたからこそ立ち止まって振り返り考える意味がある」と指摘。これまでの経験を客観的に俯瞰することで自分自身のアイデンティティーを見いだし、新たなステップとして自らの専門性を徹底強化し、「強み」によって価値観を築き道を極める「山登り」へのトランジットを示唆した。

講義を受けて参加メンバーはグループに分かれ、(1)人生の岐路や転機(2)特に成長したと思われる重要な経験(3)そこでどのように行動・選択したか(4)実現した夢や抱負――など自身のキャリアをベースに、プロとは何かなどについて意見を交換した。

キャリアの振り返りに続く近未来ビジョンを描く作業を前に大久保講師が、いわゆる人生の午後の時代に入ると「新たな知をつくり出し後世に残したい」「次世代を担う若手を育成したい」「受けた恩を返したい」という価値観が強くなると解説。

さらに、「いったん忘れたはずの才能を思い出し、その才能を活かしてみたいという欲求が抑えきれなくなる。こうした活かされることのなかった才能を第2の山にしてしまう手もある」とも語った。

これらのアドバイスをもとにメンバーはコンセプト・ビジョンを考え、才能、モデル、価値観、制約・支援、専門性、学習などの項目を具体的に言葉に落とし、全員が自身の近未来ビジョンを発表した。

メンバーの前で声に出して語ることについて大久保講師は、「人前で語るということは相手に整合的に伝えようとする本能であって、それがつまりは自分に言い聞かせること、自分の心に届くことである」とし、「明言することによって漠然としていた道筋がより鮮明になり、自分自身をその気にさせることができる」と結んだ。

2月合宿講座を最後に、フォーラム21メンバーは3月9日の修了式に臨み、第20期の講座すべてを修了する。その後、1年間の講座を振り返り修了レポートをまとめる。

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1990年にスタートした日本経団連フォーラム21は今年度20期の修了生を含め、これまでに576名が受講した。
参加メンバーは日本経団連会員企業で、トップの推薦を受けた経営幹部。日本経団連会長をチーフアドバイザーに、企業トップ、学識経験者らがアドバイザーを務める。
20期は、茂木賢三郎キッコーマン副会長、寺島実郎三井物産常務執行役員・戦略研究所所長、山内昌之・東京大学大学院教授、竹内弘高・一橋大学大学院教授の4氏がアドバイザーとして、講義やディスカッションを通じメンバーの指導に当たった。
次年度21期は6月初旬に開講の予定。月例講座のほか7月には客船を使った合宿集中講座、11月には海外視察、12月には修了生も含めた拡大講座など、多様な講座を展開していく。
フォーラム21に関する問い合わせは日本経団連事業サービス研修担当(電話03‐6741‐0042)まで。

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