![]() |
英国貿易投資総省 国防・安全保障機構で懇談する調査団メンバー |
日本経団連は3月14日から20日にかけて、「防衛産業政策に関する調査ミッション」を英国、ベルギー、フランスに派遣した。ミッションには、岩崎啓一郎・防衛生産委員会基本問題ワーキング・グループ主査を団長として、防衛関連企業や防衛省が参加し、欧州の政府・防衛主要企業や国際機関における取り組みを調査した。各国では、官民が連携して装備品の国際共同開発などに取り組んでおり、日本との連携についても強い関心が示された。概要は次のとおり。
英国では2008年に国防省の輸出担当部門が貿易投資総省に移管された。05年12月に「防衛産業戦略」を政府が発表し、今年中にレビューを行い、必要な部隊配備やサポート能力、装備品のプログラムを決める。
武器輸出管理について、輸出ライセンスは外務省等のアドバイスをもとに国防省が出す。日本との防衛協力に関心があるが、武器輸出三原則等がハードルである。
装備品の共同開発は、欧州諸国等と協力して行っている。米国との共同開発では、知的所有権を独占されるなどの問題も生じている。優れた装備品の研究開発費が増大しており、他国との協力や輸出が重要になる。
武器輸出管理に関しては、国防省、経済省などの意見をもとに、首相が決定する。日本との協力のために、まず軍事秘密協定が必要である。
世界経済危機の影響により、防衛予算の減少、計画の先送り等が生じている。今後は、海外企業との協力や、新興国市場の拡大が重要である。英、伊、独、スペインの共同開発による戦闘機ユーロファイターの日本への提供に関心が高い。必要な技術情報の開示について、参加企業の合意も得ている。
欧州では、各国の防衛企業の合併が進んだ。防衛装備品の国際共同開発や調達の際は、各国の方式に従っている。米国との協力については、ITAR(米国武器輸出規制)の制約が課され難しい面もある。
04年に設立された欧州防衛庁は、NATOと異なり米国は参加しておらず、EU加盟国のうちデンマークを除く26カ国が参加している。EUにおける装備品開発の調和化や、防衛産業の競争力確保に取り組んでいる。
NATOは、加盟国間の相互運用性や装備品の開発について各国間で検討し、実際のオペレーションも行う。海賊対策、アフガニスタンでのテロ対策などのため、非加盟国とのパートナーシップも強化している。