日本経団連タイムス No.2991 (2010年4月1日)

日本経団連グリーンフォーラム、第4期修了式を開催

−「経営者としての“志”」大橋チーフアドバイザーが講話


修了証書を手渡す大橋チーフアドバイザー(左)

企業の経営幹部候補を対象とする研修講座「日本経団連グリーンフォーラム」の第4期生の修了式が3月19日、東京・大手町の経団連会館で行われた。

冒頭、チーフアドバイザーを務める大橋洋治日本経団連副会長(全日本空輸会長)が「経営者としての“志”」と題して講話を行った。このなかで大橋チーフアドバイザーは、入社時の同社について、闊達な職場であった一方、社員の給料支払いが困難になるほどの苦難の時代があったことを紹介した。また、社長を務めた2001年からの4年間に、米国同時多発テロや、JAL・JASの合併などの経営危機に遭遇したことを説明。経営改革に向けて経営理念を考えるにあたって、自身の郷里である岡山出身の偉人で、幕末から明治期の陽明学者である山田方谷(やまだほうこく)が残した言葉に学んだと述べた。特に、「総じて善く天下の事を制する者は、事の外(大局)に立って、事の内に屈しない=世のなかで大きなことを成す人は、大局的な視野を持つ」「至誠惻怛(しせいそくだつ)=まごころ(至誠)といたみ悲しむ心(惻怛)があれば、物事をうまく運ぶことができる」「義を明らかにして利を計らず=正しい理念で経営に当たれば利潤はついてくる」の3つを紹介。同社における「義」とは、何よりも顧客にとっての安心・安全であることを強調した。

最後に、「先行き不透明な厳しい時代にこそ、経営者の志が重要であり、将来経営者への道を歩まれる皆さんのリーダーシップが必要となる」と激励し、“悲観主義は気分によるもの、楽観主義は意志によるもの”(仏哲学者アラン)を、この時代を乗り越えるのに大切な言葉としてメンバーに贈り、講話を締めくくった。

その後、アドバイザーの関島康雄氏(3Dラーニング・アソシエイツ代表)と大久保幸夫氏(リクルートワークス研究所所長)があいさつ。また、大橋チーフアドバイザーが受講生一人ひとりに修了証書を授与した。

受講生からは、「企業に変革をもたらすようなリーダーシップを発揮していきたい」「この講座で貴重な人的ネットワークが得られた」「今のようなモチベーションはしばらく経験していなかった。自分再生の元年として頑張っていきたい」などの感想とともに、指導に当たったアドバイザーや講師に対する感謝の言葉が寄せられた。

修了式を終えた第4期受講生28名は、講座とメンバー同士の相互啓発を通じて策定した行動計画「100日プラン」を実行に移し、講座の総仕上げに入る。

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日本経団連グリーンフォーラムは、組織や部門をリードできるプロ人材の育成を目的に、2006年に開講。リーダーシップやコーチング、プロジェクトマネジメント、説得力・交渉力、プレゼンテーション、ロジカルシンキング、マーケティングなど、経営幹部に求められるコアスキルを、演習を中心に学ぶ。今年度に続き、2010年度第5期も大橋副会長をチーフアドバイザーに、関島氏、大久保氏がアドバイザーを務める。開講は5月26日の予定。

詳細に関する問い合わせは日本経団連事業サービス研修担当(電話03‐6741‐0042)まで。

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