日本経団連の御手洗冨士夫会長は1日、東京・大手町の経団連会館でスリン・ピッスワンASEAN事務総長との懇談会を開催し、アジア総合開発計画(CADP)や東アジア地域の経済統合における日本とASEANの役割などについて懇談した。スリン事務総長の発言の概要は次のとおり。
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スリン事務総長(右)と握手する御手洗会長 |
東アジアが経済危機を克服し、世界経済の牽引力となるためには、経済統合こそが唯一の道であると思う。御手洗会長がリーダーシップを発揮し、ASEANおよび東アジアの経済成長をサポートするために深くコミットしていることに敬意を表したい。ASEANは2015年までに共同体を創設することを決意している。共同体の連結性(コネクティビティー)を強化するため、ASEAN事務局は中心的な役割を果たす。
CADPの基本的な考え方は、ASEAN経済をアジア経済全体のなかに統合していくことである。アジア市場は世界で最も成長しており、統合は極めて重要である。
ASEANは、フランス、ドイツなどを核とするEUと比べて、各国の経済力が小さいが、周辺には日中韓という強い経済力を持つ国がある。そのため、ASEANは域外との連結性を強化する必要がある。
真の経済統合の実現のためには、規制改革のみならず、技術移転や人材交流の進展も必要であり、生産ネットワークの構築や管理・生産の技術移転を行う民間部門の役割は大きい。
また、経済統合を通じて貿易・投資の自由化を進めることも重要である。その際、多くの人にEPA(経済連携協定)の利益が行き渡るようにしなければならない。
さらに、ビジネス環境の改善も必要である。企業が安心して事業を行う環境が整備されていなければ、民間のダイナミズムを発揮することはできない。
持続可能な成長のためには環境との両立も必要であり、環境・省エネルギーについて各国が協力していくべきである。
日本経団連側から、CO2の削減に効果の高い手法として、セクター別アプローチを説明いただいた。極めて現実的なアプローチであり、各国に啓発していくことが重要である。ASEANでも当該セクターに問題提起したい。
日本企業の技術開発プロセスにASEAN各国の技術者が参加することは、ASEAN企業の技術開発にとって意義がある。日本企業の貢献に期待している。