日本経団連タイムス No.2994 (2010年4月22日)

CSR・企業倫理活動などで論議

−企業行動委員会企画部会・社会的責任経営部会合同会合


日本経団連は7日、東京・大手町の経団連会館で企業行動委員会企画部会(吉田豊次部会長)・社会的責任経営部会(鍛治舍巧部会長)合同会合を開催した。当日は、来賓の東京交通短期大学・田中宏司学長から、「企業に求められるCSR・企業倫理活動のあり方−国際的規格などを踏まえて」について説明を聞いた後、日本経団連として「企業行動憲章実行の手引き」の見直しに向けた検討に着手することを決定した。さらに、「ISO26000(社会的責任に関する国際規格)をめぐる最近の動向とコペンハーゲン総会への対応」について報告するとともに意見交換を行った。

■ 講演「企業に求められるCSR・企業倫理活動のあり方」

田中学長から、まずISO26000の特徴や7つの中核主題について説明があった。次に、企業にはコンプライアンス経営を基盤としたCSR経営の推進が求められるとして、実践的なアドバイスがあった。最後に、企業行動憲章を改訂するにあたって、反映すべきポイントなどについて説明がなされた。

■ 「企業行動憲章実行の手引き」の見直しに向けた検討着手

現行の「企業行動憲章実行の手引き(第5版)」の改訂から約3年が経過したことから、国内外のCSRをめぐる動向の変化や関連法制度の創設・改正などの動きを踏まえ、今年9月の改訂に向け、同実行の手引きの見直し作業に着手することにした。具体的には、企画部会と社会的責任経営部会の下に「企業行動憲章ワーキング・グループ」を発足させて検討を行う。

■ ISO26000をめぐる最近の動向とコペンハーゲン総会への対応

2004年から始まったISO(国際標準化機構)における社会的責任に関する国際規格(ISO26000)の策定作業は、2010年12月ごろの発行に向けて、その内容が固まりつつある。ISO26000は、企業のみならず、すべての組織を対象とする規格で、認証目的に用いるのではなく、組織の自主的な取り組みの参考となるガイダンスとして位置付けられている。5月17〜21日にかけてコペンハーゲンで開催される「ISOのSR(社会的責任)に関するワーキング・グループ・第8回総会」が、事実上最後の議論の機会となることから、大企業のみならず、中小組織や途上国の組織にとって、実用的でわかりやすい規格となるよう働きかけていく等の方針を確認した。

なお、日本経団連では、7月5日に経団連会館で、コペンハーゲン総会の報告を兼ねて、「ISO26000セミナー」を開催する予定である。

【政治社会本部】
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