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日本経団連洋上研修のフォローアップ講座が4月20日に開催された。第41回から45回の洋上研修参加者が対象。第43回・45回でアドバイザーを務めた野田稔明治大学大学院教授が「最近のマネジメントトピックス」をテーマに講演したほか、洋上研修参加者やコーディネーター経験者から、現況報告、研修への期待や要望などを聞いた。
新たな市場を開拓するには、「新結合」という意味でのイノベーションが必要である。
途上国の貧困層を対象にしたBOPビジネスに見られる「強制されたイノベーション」に成功のカギが隠されている。途上国では先端技術を使う方が安価な製品やサービスを提供できるが、インフラや投入資源などの制約に合わせて技術開発をしなければならない。
インターネットの回線不足を補う動画圧縮技術の開発、安くて持ち運び可能な超音波装置、ソーラー冷蔵庫搭載のラクダを使ったワクチン接種の仕組みなどがその例である。徹底的に現地ニーズをつかみ、「最先端」「必要最低限」「廉価」な新しいものをつくることが必要である。さらに、人々の生活にシステムを組み込むという発想が必要である。この力が身に付けば、先進市場でも武器になる。
イノベーションは異質なもの同士がぶつかりあう辺境に起こる。しかし、異質な人間を包含する組織では、前提が共有されていないため、高コンテキスト(文脈)のコミュニケーションが通用しない。言葉に折りたたまれた意味や感情をきちんと言葉にして展開していく必要がある。
洋上研修は、海上という逃げられない場であり、異なる背景を持つ人々が参加するため、イノベーション教育の場となる。洋上研修で問題提起した「内憂外患」の解決には、異質性を取り込んで「わが社の常識は世間の非常識」と考えてコミュニケーションし、イノベーションを起こしていくしかない。
洋上研修の効果や個人、会社に与えた影響を示唆する主な報告は次のとおり。
洋上研修のフォローアップ講座は今回が初の試み。横のつながりだけでなく、歴代の参加者同士の縦のつながりを構築することを目的に実施した。今回の講座が好評であったことから、今年度も研修終了後に実施する予定である。
今年度第46回洋上研修の実施概要は次のとおり。