日本経団連タイムス No.2998 (2010年5月27日)

第13回日本ブラジル経済合同委員会開き意見交換

−新たな日伯経済のあり方や両国のビジネス機会などめぐり
/御手洗会長、一層の発展に期待感を表明


槍田・日本ブラジル経済委員長(左)と
マスカレーニャス・ブラジル日本経済委員長

日本経団連・日本ブラジル経済委員会(槍田松瑩委員長)は17、18の両日、東京・大手町の経団連会館で、ブラジル全国工業連盟(CNI)とともに、第13回日本ブラジル経済合同委員会を開催し、世界経済危機後の新たな日伯経済関係のあり方や両国のビジネス機会等について意見交換を行った。今回の合同委員会は、2007年にサンパウロで開催して以来3年ぶりとなる。

合同委員会には、ブラジル側からマスカレーニャス・ブラジル日本経済委員長、ブラジル開発商工省のハマーリオ次官をはじめ約60名、日本経団連側から槍田委員長ほか120名が参加した。また開会式の来賓として、ネーベス駐日ブラジル大使、島内憲駐ブラジル日本大使があいさつした。

初日午前中の全体セッションでは、ブラジル経済について、世界経済危機後の回復も早く、所得の増加による中間層の拡大が消費を押し上げていることや、対中国を中心に貿易額が増えていることを背景に、10年度のGDP成長率は6.0%と見込まれ、今後も安定した成長が続くとの見通しがブラジル側から示された。

また、日伯間の投資拡大のため、税制、技術移転に対する制限、知的財産権保護など、ビジネス環境の改善が重要であり、経済界が連携して両国政府に働きかけていくべきとの認識が双方より示された。また、メルコスールと日本とのFTAについても、将来的な課題として検討してはどうかとの提案がなされた。

続く昼食会では、御手洗会長があいさつし、日伯経済関係は、長年、資源・エネルギー開発を軸に緊密な関係を築いてきており、今後とも両国経済界の知恵と創意で一層の発展を期待したいと述べた。

午後の4つの分科会で、両国のビジネス機会と協力分野について具体的な議論を行った。エネルギー、天然資源、バイオ燃料の分科会では、ブラジル側から、深海油田の開発により石油埋蔵量が倍増するとの予測や、中国等新興国の鉄鉱石需要の高まりを背景に今後の発展の可能性について説明があった。これに対し日本側は、資機材や技術面、資金面での協力に意欲を示した。また、ブラジルから、バイオエタノール先進国として、日本でのE3(ガソリンにエタノール3%を混合)の普及について期待が表明された。

先端技術・製造業の分科会では、中小型航空機産業における日伯の技術協力、太陽光・風力・バイオマス等クリ‐ンエネルギーや電気自動車などのブラジルでの展開、航空機、天然ガス用タンク、深海油田掘削機、風車などで多様に活用できる炭素繊維等、新たな可能性のある分野について議論が行われた。

農業の分科会ではブラジル側から、生産性の向上で、輸出額は1990年以降、年8.8%の成長を遂げ、世界3位の農業輸出国となったとの説明があり、さらに、日本の農産品輸入におけるブラジルのシェアを高めるため、豚肉等の検疫に関する規制緩和への期待が表明された。

インフラの分科会では、ブラジルの経済成長加速化計画(PAC)とこれに続くPAC2を合わせて、07年から14年までの8年間に1.5兆レアルを超える大規模なインフラ投資を計画しているとの説明があり、日本企業に積極的な参加を求めた。また、今年、入札が予定されている高速鉄道に関し、入札条件の改善について、ブラジル側も政府に働きかけを行っているとの説明があった。

レセプションでは来賓の石毛博行経済産業審議官、閉会セッションではハマーリオ開発商工省次官がそれぞれあいさつし、日伯経済関係の発展のため、ビジネス環境の改善に向けた官民連携を強化すると述べた。

【国際協力本部】
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