日本経団連タイムス No.2999 (2010年6月3日)

「生物多様性に関する意識調査」結果を発表

−生活者が行っている取り組みや政府・企業に期待することなど/経済広報センター


経済広報センター(御手洗冨士夫会長)は5月19日、「生物多様性に関する意識調査」の結果を発表した。今年10月、名古屋で生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)が開催され、これまでの各国の取り組みの総括と今後の新たな枠組みが議論されることになっている。そこで、経済広報センターは、生物多様性に関する認識や意見についてアンケートを行ったもの。
調査は、全国のさまざまな職種・世代で構成される「社会広聴会員」を対象に、インターネットで3月4日から15日に実施、2057人から回答を得た(有効回答率66.0%)。
調査結果の概要は次のとおり。

■ 「生物多様性」という言葉の認識

生物多様性について、「内容を知っている」は27%であるが、「聞いたことはあるが内容は知らなかった」(35%)を合わせると62%となった。言葉としての「生物多様性」は一定の認識が得られているといえる。

■ 国際生物多様性年の認識

今年(2010年)は国連が定めた国際生物多様性年であることを「知っている」は12%。また、名古屋で生物多様性条約締約国会議(COP10)が開催されることを「知っている」は15%で、ともに10%台であった。また、COP10の議題について「知っている」は5%にとどまった。

■ 生物多様性国家戦略の策定の認識

政府がまとめた生物多様性国家戦略について、「内容を知っている」(1%)、「策定したことは知っている」(13%)を合わせても14%である一方、「全く知らない」は86%に達している。今後、国民への広報など、理解促進のための努力が求められる。

■ 生活者が行っている取り組み

生物多様性の保全・回復のために、生活者が行っている取り組みを尋ねたところ、「地域の古紙回収に参加する」(81%)、「商品の購入時、簡易包装やレジ袋辞退を申し出る」(77%)、「地域の空き缶回収に参加する」(75%)の3項目が突出して高かった。

■ 政府に期待すること

政府に期待することでは、「持続可能な森林資源を利用する」(42%)、「政府・自治体の行政・事業における生態系への配慮を促進する」(41%)、「河川・湖沼・海域の水質を改善する」(38%)などが高くなっている。

■ 企業に期待すること

企業に対する期待として多かったのは、「実施中の事業活動について、生物多様性への影響の把握・分析および事業の進め方の改善に努める」(55%)、「事業活動における『省資源、省エネルギー、3R』を継続的に推進する」(51%)、「事業計画の立案において、生物多様性に配慮する」(47%)、「生物多様性の重要性を認識し、経営に反映させる」(44%)、「生物多様性の保全に寄与する技術の開発、普及に努める」(44%)などだった。これらは他の項目より10ポイント以上高く、事業活動に直結する事柄への期待が高いことが明らかになった。

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同調査の詳細は、経済広報センター国内広報部(電話03‐6741‐0021)まで。

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