日本経団連タイムス No.3000 (2010年6月10日)

温家宝・中国総理歓迎昼食会を開催

−温総理、国内政策で「国民が尊厳のある生活を」と強調/日中関係では環境分野に期待


歓迎昼食会で懇談する温家宝総理(中央)、
米倉会長(右)、御手洗名誉会長(左)

経団連(米倉弘昌会長)は5月31日、東京・大手町の経団連会館で温家宝・中華人民共和国総理の歓迎昼食会を開催した。経団連会館に中国の総理を迎えたのは今回が初めて。

米倉会長は歓迎あいさつで、中国は経済危機の影響をいち早く脱して成長軌道に戻り、「世界の工場」から「世界の市場」へと急速に転換を遂げつつあると指摘。わが国経済界としては、著しい発展を遂げる中国を抜きにして今やビジネスは語れないと述べた。また、中国政府が示しているグリーン経済、低炭素経済、循環経済の発展に向けた取り組みに言及し、地球環境問題に世界の関心が集まるなかで、中国の環境政策が国際的にも大きく注目されていると指摘した。

続いてあいさつした温総理はまず、中国の経済政策について、世界経済の見通しはいまだ不安定であり、中国政府は危機意識を持って冷静に対処すると述べた。また、GDPが世界第2位になったとしても、中国の一人当たりGDPは3700ドルにすぎず、東部と西部、農村と都市の発展の不均衡などの国内の経済課題に取り組んでいくと述べた。さらに、中国は、協調・調和のとれた発展、持続可能な発展を目指し、社会を安定させ、国民が尊厳のある生活を送れることを目指すと強調した。

また、日中の重点協力分野は、グリーン経済やその他製造業における最先端技術の発展であると指摘。特に、環境分野で日本から学ぶべきであると考えており、曹妃甸(そうひでん)工業区や天津の濱海新区、海南島国際旅游島への日本企業の参加に期待を表明した。また、文化交流について、両国ジャーナリストの相互招聘事業を紹介し、映画を通じて日中間の理解を高め、さらに友情を深めることができると述べた。

■ 良好な日中関係祝し温総理が漢俳

なお、温総理は、現在の良好な日中関係を祝して、下記の漢俳を披露した。

「 濃緑夏日長 万物生機新事象 碩果満枝上 」

(緑濃く夏の日は長い 万物は生命が満ち、新しく生まれ変わる 果実が枝にたわわに実っている)

【国際協力本部】
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