日本経団連タイムス No.3000 (2010年6月10日)

今年度の労働基準行政、主要課題を聞く

−労働法規委員会


経団連は5月24日、東京・大手町の経団連会館で労働法規委員会(三浦惺委員長)を開催し、厚生労働省の渡延忠大臣官房審議官から、今年度の労働基準行政の主要課題について説明を聞いた後、意見交換を行った。渡延審議官の説明の概要は次のとおり。

■ 地方労働行政運営方針

労働基準行政としては、その使命である適正な労働条件の確保に全力で取り組む。そのため、解雇、雇止めや賃金不払い事案等に的確に対応することはもとより、賃金、労働時間など一般労働条件の確保・改善対策、安全衛生確保対策、労災補償対策等を積極的に推進する。

■ 有期労働契約

有期労働契約のあり方に関し、政策の方向性を研究するため、昨年2月に研究会を設置し、検討を重ね、今年3月に中間取りまとめを公表した。今後は労使の意見を参考にさらに研究を深め、夏ごろまでに最終報告を取りまとめ、今後の労働政策審議会での調査・研究につなげたい。

中間取りまとめは、一つの方向性を打ち出しているものではない。契約締結時の規制(入口規制)、更新・雇止め規制(出口規制)、均衡待遇・正社員への転換などの論点について、その規制を実施した場合に予想されるメリット・デメリットを含め、論点間の相互関係を提示したものである。各論点を独立したものとして扱わず、ある規制を強化した場合、他の規制の役割が薄くなるといった関係性を明らかにすることに主眼が置かれている。

■ 受動喫煙防止対策

これまでさまざまな対策が実施されてきたが、WHOの「たばこ規制枠組条約」の発効など、受動喫煙を取り巻く環境が変化している。これらを踏まえ、昨年7月に「職場における受動喫煙防止対策に関する検討会」を設置し、検討を重ねてきた。

検討会の最終報告では、今後の施策の基本的方向として、従来の快適職場形成ではなく、労働者の健康障害防止という観点から、「労働安全衛生法において、受動喫煙防止対策を規定することが必要」とする一文が盛り込まれる予定である。具体的には、(1)一般の事業場では、全面禁煙または空間分煙とし、(2)飲食店など顧客に一律の対応を求めることが困難な場合であっても、労働者の受動喫煙の機会を低減させる措置をとるというもの。報告書の公表を受けて、今後、労働政策審議会において制度改正等について議論が進められることになる。

【労働法制本部】
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