日本経団連タイムス No.3002 (2010年6月24日)

ルイス・メキシコ経済相との懇談会を開催し意見交換

−日墨経済関係の展望など


日本経団連の日本メキシコ経済委員会(小枝至委員長)は4日、東京・大手町の経団連会館で、APEC貿易担当大臣会合への出席のため来日したメキシコのヘラルド・ルイス・マテオス経済大臣との懇談会を開催し、メキシコ経済の現状、日本メキシコ経済連携協定(日墨EPA)再協議の状況や日墨経済関係の展望をめぐり意見交換を行った。ルイス経済大臣の発言要旨は次のとおり。

発言するルイス経済相

メキシコには、生産拠点としての潜在性、米州市場へのゲートウエーという地理的な優位性がある。また、44カ国との間で、自由貿易協定(FTA)を締結し、全世界のGDPの約3分の2をカバーする世界最大のFTAネットワークを持っている。

国内市場も魅力的である。人口は1億人以上であり、今年の所得は12.7%伸びた。2012年には1兆ドルを超える市場に成長する見込みである。

さらに、現政権は港湾、電気通信、エネルギー、病院などに対し、過去最大級のインフラ投資プログラムを進めている。投資額は政権発足当初GDP比3.1%であったが、現在は同5.1%超に拡大している。この比率は過去最高である。

また、カルデロン大統領の指示により、あらゆる許認可、手続きの見直しを行っている。その目的は、最もスリム化した手続きを実現することにより、企業の負担を減らすことである。

日墨経済は補完的な関係にある。両国関係の緊密化は、お互いの成長と繁栄につながる。

日墨EPAはうまく機能しており、両国の貿易や投資は増加している。しかし、さらに拡大する余地は残されている。日墨EPAの再協議を通じ、両国にとってのチャンスを十分に分析し、両国関係を深めていきたい。

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なお、ルイス大臣説明後の懇談において、日本経団連側からメキシコ北部での治安状況が問われたのに対し、ルイス大臣は、各州の警察権限を強化し、地方レベルの対策を促進するとともに、教育や麻薬患者への医療を充実させるなど社会的安全網の拡充も行っており、このような治安への包括的な取り組みは必ずや功を奏すると強調した。

【国際協力本部】
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