日本経団連タイムス No.3003 (2010年7月1日)

「新たな情報通信技術戦略」

−小宮・吉田両内閣参事官から説明聞く/情報通信委員会情報化部会


日本経団連は6月15日、都内のホテルで情報通信委員会情報化部会(遠藤紘一部会長)を開催し、内閣官房の小宮義則参事官、吉田眞人参事官から、「新たな情報通信技術戦略」(以下、新IT戦略)について説明を聞き、意見交換を行った。

まず、小宮参事官は、新IT戦略の推進体制の見直しについて、「昨年の10月末より、政治主導で新IT戦略の策定作業が進められてきた。高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT戦略本部)の下に企画委員会(副大臣級会合)を設置し、新IT戦略に関する重要事項の検討、施策の進捗管理等を政治主導で行う体制を整えた」と説明した。

次に、新IT戦略の概要について、「基本認識として“新たな国民主権の社会の確立”を掲げている点が特徴である」と述べたうえで、重点戦略(3本柱)について言及。第一に、電子行政の実現について、「行政事務のシステム化を実施する前に、まずは徹底したBPR(業務改革)を行い、業務の効率化・標準化を図る必要がある」「電子行政の共通基盤として、国民ID制度の整備を行うこととする。なお、その際、社会保障・税の共通番号制度との整合性をとる」「行政情報を2次利用可能なかたちで公開するなど、国民がオープンガバメントを実感できるようにする必要がある」と説明した。

第二に、地域の絆の再生について、「医療や教育分野等におけるIT利活用を重点施策として推進する」と述べたうえで、「ITの利活用により、医療機関間における医療情報の共有を可能にし、また、国民が自らの医療・健康情報を電子的に管理・活用することで、全国どこでも受診できる“どこでもMY病院”構想の実現を目指す」「学校内における情報端末・デジタル機器等の整備充実を図るとともに、デジタル教科書・教材の普及・促進を行う」と語った。

第三に、新市場の創出と国際展開について、「スマートグリッドの推進等により、環境技術と情報通信技術の融合による低炭素社会の実現を目指す」「ITに関する知識が豊富なデジタルネイティブと呼ばれる若い世代の能力を活かす環境を整備し、コンテンツ等の新事業を創出する」「クラウドコンピューティングサービスの推進により、競争力の確保および利便性の向上を目指す」「スマートグリッド等を海外へ売り込むため、海外市場における国際標準の獲得をオールジャパン体制で目指す」と説明した。

さらに、今後の検討事項として、「新IT戦略の工程表に基づき、各施策に対するPDCAサイクルを着実に回すことが重要である。企画委員会が中心となり、政治主導で進捗状況をフォローする」と言及した。

最後に、吉田参事官から、「電子行政の実現に向け、内部管理業務の抜本的効率化に取り組んでいる。例えば、旅費業務について、2008年11月に各府省統一基準ベースとなる“標準マニュアル”を策定し、本マニュアルに沿って各府省の規定類等のリニューアルを実施した」との説明があった。

【産業技術本部】
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