日本経団連タイムス No.3004 (2010年7月8日)

日中韓FTA共同研究や日中韓ビジネス・サミットの概要を報告

−経済連携推進委員会


日本経団連は6月28日、東京・大手町の経団連会館で経済連携推進委員会(大橋洋治委員長、勝俣宣夫共同委員長)を開催した。当日は、5月6日、7日にソウルで開催された日中韓自由貿易協定産官学共同研究について、第1回会合に出席した経済産業省の貞森恵佑通商交渉官ならびに佐藤芳明経済連携推進委員会企画部会長が報告を行った。また、5月29日、30日の日中韓ビジネス・サミット(韓国・済州島、韓国全経連、中国国際貿易促進委員会との共催)に出席した大橋副会長・委員長から、その概要が報告された。さらに、6月24日、25日にウランバートルで開催された日モンゴル経済連携協定第1回官民共同研究会の模様について事務局が報告した。

1.日中韓自由貿易協定産官学共同研究

■ 貞森通商交渉官報告

日中韓FTAの産官学共同研究第1回会合の開催については、日中韓経済貿易大臣会合(5月23日、ソウル)や同サミット(5月29日、韓国・済州島)で歓迎され、2012年までに最終報告をまとめることが確認された。
会合では、三国貿易経済関係の現状を概観するとともに、実現可能性やそのカバーする範囲等を扱うことで合意されている。
特に、自動車、自動車部品、鉄鋼、化学、薄型テレビ等の高関税品目の関税引き下げ、小売業、オーディオビジュアル、教育等のセクターでの外資規制の緩和がわが国の関心事項である。

■ 佐藤企画部会長報告

第1回会合では、わが国産業界が物品貿易、サービス貿易、投資自由化、投資保護、知的財産権、国際標準化、ビジネス環境整備等を含む包括的な日中韓FTAの早期締結が必要であると考えているとの意見陳述を行った。
中国は日中韓FTAの締結に非常に前向きであるとの印象を受けた。一方韓国は、商慣行を含むビジネス環境の改善に関心を寄せていた。最終報告の早期取りまとめが望まれる。

2.第2回日中韓ビジネス・サミット

■ 大橋副会長・委員長報告

第2回日中韓ビジネス・サミットでは、大きな潜在成長力を有するアジアが域内需要を喚起し、世界経済を牽引していく必要があることを確認した。
また、アジア地域の経済統合を進めるうえで、日中韓FTAの早期締結、地球温暖化防止やエネルギー安全保障に関する協力、技術の国際標準化の推進が必要であることで一致した。
サミットの成果を日中韓三団体の代表が三国の首脳に報告したところ、首脳から日中韓FTA締結プロセスの迅速化の必要性が示された。

3.日モンゴル経済連携協定第1回官民共同研究会

2009年12月の両国合意に基づき今般、第1回官民共同研究会がウランバートルで開催された。
研究会では、日本経団連側から、物品のみならず、サービスや投資を含む包括的な経済連携協定(EPA)の必要性について説明した。
一方、モンゴル側からは、カシミア製品、皮革、食肉等がモンゴルの主要輸出品であり、関税の撤廃が不可欠であるとの説明があった。

【国際協力本部】
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