日本経団連タイムス No.3004 (2010年7月8日)

消費者団体と意見交換

−企業行動委員会消費者政策部会


日本経団連は6月25日、東京・大手町の経団連会館で、企業行動委員会消費者政策部会(室町正志部会長)を開催した。当日は、全国消費者団体連絡会の阿南久事務局長と、日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会の古谷由紀子常任理事を招き、消費者・消費者団体からみた企業・経済界に求める対応と消費者政策のあり方について、説明を聞くとともに意見交換を行った。

冒頭、阿南氏から、「全国消費者団体連絡会が経団連の会合で説明できるのは歴史的なことで、大変ありがたく思っている」とのあいさつがあった。そのうえで、「被害防止のためにはリスクコミュニケーションが大事である。企業と消費者が対立したままでは何もよくはならない。企業と消費者が連携・協働することが重要である」と述べた。

さらに、「消費者側も、企業と対話したり積極的に提案することによって、よりよい市場をつくっていこうという認識が生まれつつある。企業と消費者がコミュニケーションをよくすることで、消費者の情報を読み取る力や商品を選択する力、事業者の説明力が高まったり、消費者の生活感覚や使用感覚を感じることで、企業のリスク管理能力が高まる。さらには社会的課題への思いやりの意識が高まる」といった説明があった。

古谷氏からは、「消費者利益の実現のために、企業に対する規制を単に強化するのではなく、企業の自発的な取り組みを促したり、消費者団体と企業とが対話したり協働していくことが必要である」との説明があった。さらに、「経済界も経営に消費者の視点を導入するとともに、どのような社会を目指すのかについて、積極的に意見を主張すべきだ」と語った。

意見交換では、「企業と消費者がWin‐Winの関係を構築することが大事である」「消費者やマスメディアに企業の取り組みを理解してもらうことが重要である」といった意見が出された。

会合当日はあわせて、「社会的責任に関する円卓会議」の協働プロジェクトについて事務局から説明を行った。同会議は、事業者団体や消費者団体、NPO、専門家、政府などの広範なステークホルダーが、安全・安心で持続可能な社会の実現を目指し、政府だけでは解決できない諸課題について、解決の道筋を見いだしていく会議体である。同会議では今般、協働プロジェクトとして、「消費者・市民教育モデル事業」に取り組むことになったことから、事務局から各企業に対し、消費者教育に関するコンテンツの提供などの協力を依頼した。

【政治社会本部】
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